ブザービート繋がりで、記憶に残ってるフィクションみたいな試合の話をひとつ
中学生の頃、県大会とかで、自分らの試合始まるまで他校の試合観戦してるとき、三面コートの体育館の真ん中のコートで他校の女子の試合やってて、超接戦になってたんだよ
まだはっきり覚えてる、4Q残り一分で68対69のワンゴール差で、真ん中のコート(イメージ画像↓の観客席がもっと高くなってる感じ)だから、観客席の全員その試合見てて、プレイのひとつひとつに観客のどよめきがあがるんだ(今調べたらそのメインコートの観客席のキャパが2400席らしい。当時はほぼ満席だった。)
2400人に見られながら、負けてる方のチームの14番のフォワードの女の子がドライブ(ドリブルでディフェンス突破して簡単なレイアップを狙いに行くこと)してったんだ
スクリーンを使った上手いドライブで、一人二人は簡単に抜いて、最後のディフェンスのセンターの子さえ突破すれば簡単に二点を取れるはずだった
それなのに、抜かれたセンターの子が、後ろから無理矢理止めに行って接触して、ピーッてファウルを吹かれたんだ
シュートモーション中のファウルペナルティはフリースローになるから、当然14番の女の子にはフリースローが2本与えられた。
残り時間15秒、間違いなくラストプレーのはずだった。
監督がベンチからオフィシャル(ゲームの遂行に必要なタイマーなど仕事のこと。)に「タイムアウト」の意を伝えると、
ビーーッと1分のタイムアウトを伝えるサイレンが鳴った。
選手全員がベンチに戻って行って、つかの間の休憩と、タイムアウト後の戦術を監督から聞いていた。
特にフリースローをもらった子と、ファウルをしてしまった子は、チームメンバーが囲んで励ましていた。
やがて、観客的には長すぎる一分が経過して、タイムアウトの終了を伝えるビーーッというサイレンが鳴った。
両チームのベンチに座ってた子たちが監督やベンチメンバーに応援されながら続々とコートに戻っていく。
フリースローラインにはファウルをもらった14番の子が立って、台形のリバウンド準備にはそれぞれのチームのリバウンダーが立って、両チームとも準備万全に見えた。
審判が「ツーショット」と合図して、14番の子にボールをパスした。
点差は1点差、
フリースローは1本1点だから、1本決めさえすれば同点で、なんとか延長には持ち込める。
約2400人の目がその子に集中する中、観客席からは、知らない学校の知らない子とか関係なしに、「頑張れー!」とか「落ち着いてー」とか、エールの声が上がってた
俺も思わず「1本でもいいんだぞー!」って叫んでた
女の子はまじで今にも泣きそうな顔で、両手でボールを持って、ゆっくりシュートモーションに入った
モーションに入ったら、下手に声をかけて邪魔しちゃいけないという意思が体育館全体に蔓延して、ピタッとエールの声は止んだ。
ざわざわとした雑音と、誰かが静かに会話してる声だけがやけに大きく聞こえるまさに異様な空間。
約2400人が息を呑んで同じ場所を見つめながら、そのときを今か今かと待っている永遠にも思える気持ち悪いくらい静かな時間。
女の子は1本目のフリースローをゆっくりゆっくり、たっぷり時間をかけて放った。
傍目から見たら綺麗な軌道に見えた。
けど、ガコンとリングの左側に当たって、
外れた。
弾かれたボールが床に落ちてバウンドする頃
「あぁ~」
という観客の残酷すぎる落胆の声が、会場中から