アリさんの体は美しい。その細い細い腕と間接部分がポコッと太いところ。その強弱感がいい。緩急をつけて描かれた線のよう
大きく三つに別れた体。一部一部は楕円形だが繋がっている部分はこれまた細い。その間を切断するもよし、楕円部分を潰すもよし。
強者としての優越感。人間とアリという絶対的な力の差がある関係だからこそ生まれる興奮が僕の中に生まれる。ああ、アリさん。肉眼では確認できないほどに小さくつぶらなその瞳で、見つめてくれ、僕を。そして僕は鉛筆を走らせる。
鉛筆一本では物足りない。
だから、二本にしてみる。
三本だと少し太すぎるから四本にする。
五本だと細すぎて書きにくい。六本ならちょうどいいかな? 七本…………八本…………九本…………十本…………