さて、何から話すべきか #25

25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2021/05/06(木) 16:34:08.91 ID:Zp0gIx4i

そうか、俺食べられるんだ
そう思うと背中がカチカチに固まってくるのを感じた
くそぅ、俺は山がくれた供物じゃねぇんだぞ!!思ったが口には出ない
熊娘がもう一歩近づき両手を上げた、捕食する気だ
もうダメだと思ったその時、いや待てよという思考と共に一瞬身体が軽くなった気がした
いや待てよ、こんな少女の姿をしたクマに食べられる?そんなまさか、そんなわけがない
そうだ目の前にいるのは少女、ただ力の強い少女だ。なぁそうだよね若菜ちゃん。こんな姿で山に来る奴がいてもおかしくないよね
だからこの状況はあれだ、ただの鬼ごっこだ、俺は今、可愛い少女の鬼に追い詰められているにすぎない、ならば
「く、くましゃんこちら手のなるほうへ」
「クマさんこちら手のなるほうへ!!!」
俺は心のドキドキを振り払うよう大声を上げて立ち上がり、転がるように山を下り始めた。もちろん手なんか叩いてない
登ってきた道を下りながら俺はちらりと後ろを見た
大声を上げて一瞬放心した熊娘が四つ足で俺を追ってきた。俺よりも早い
あれは少女、あれは少女、四つ足で走ってもあれは少女
そう念じてはみるものの二人の距離はグングン縮まっている
何か手はないかと考えるが周りを見る余裕もない
これ邪魔だ!!俺は右手に巻き付いていた袋を捨てた、ラムネビンと駄菓子のカスが入った袋だ
するとどうだろう、突進してくる熊娘がそれに気づかずビンを踏み、そして盛大に転んだ
「おぉ!マイ神よ!奇跡よ!」
俺はうずくまる彼女に少しの罪悪感を感じながら脇の獣道に入った
障害物のない人の道では勝てないと思ったからだ
獣道に入ると後ろからパキパキと音がする。しかし歩みはかなり遅い
これなら逃げ切れると、右へ左へ下っているとあるときピタリと後ろから音が聞こえなくなった
ま、まいたのか?やった!やったぞ!
熊娘が来そうな方向に目を凝らし姿が見えないことを確認し振り返ると、そこに熊娘が突っ立っていた
「オマエ ショウジョ ダロ?」
「ワタシ クマ」
そうか、熊だったんだ。なら仕方ない、食べられても仕方ない。逃げきれなくて当然だ、だってここ獣道だもん
人VS獣で獣道に入って勝てるわけがないんだ
俺はその場に寝ころびせめて一撃で宜しくと全身を脱力させた
「オイ ショウブ シナイカ」
「今して負けた」
「コノ イヤリング トレタラ カチ」
顔だけ少女に向けると髪の毛に埋もれて気づかなかったが右耳の付け根に七色の光沢を放つ貝殻のイヤリングが見えた
「勝ったら食べないのか?」
「ショウブ ツクマデハ タベナイ」
「オマエ ハシルノ ハヤイ チョット ビックリ ワタシ ツカレタ」
こんな時だが褒められるとまんざらでもない
「カッタラ ナニシテモイイ」
それはお互いにということか。つまり疲れて食べる元気がないから元気が出るまでちょっと遊んでやるということか?
しかし
「なにしても?」
「ナニシテモ」
俺はホットパンツ下の白い肌の太ももに目をやる
「オマエ キモイ」
少女は自分が見られていると知ってその太ももを隠すようにしゃがみ込む
しゃがむとふくらはぎの奥にホットパンツと太ももの裏側が見えて眼福である
「いったぞ!今言ったからな!いいんだな!そのイヤリングさえとればいいんだな!」
いいよやってやるぞ、どうせ取れなきゃこいつのディナーならもう少し頑張ってからでもいいだろう
かくして俺と熊娘の熊出山の一戦が始まった

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