近所の山で続き書いてく
近所の山で続き書いてく
「よし、熊出山に向かうとするか。」
熊出(くまで)山はここらで有名な山だ
アクセスも良くて手軽だから小学校の遠足で登ったりする
もちろんそれは俺も例外じゃない
そういえばあの時同級生のスカート見て怒られたりしたっけ
朗らかな空気がふわふわとした昔の記憶を呼び起こす
「!!。□□のパンツ苺柄じゃん、かわいいな!」
「○○君そういうのやめた方がいいよ。気持ち悪い」
「え?」
「○○、俺もう友達止めるわ」
「え?」
「きっしょ、あんた一生童貞になる呪いかけといたから」
・・・あれのせいで、俺はいまだに卒業どころか彼女もいないのだろうか
そもそも山にスカートで来てたアイツが周りから浮いてたんだ
それを察した俺が華麗に笑いに変えてやったのに。失敗したけど
さっきまでのテンションが嘘のように沈む。おかしい、今日はそんな日じゃなかったはずだ
いや、待て待て、熊出山の思い出はこんなに暗いものばかりじゃない
俺は自分を励ますように今の記憶をそっと心の奥へ閉まって、別の記憶を呼び覚ますことにした
そうだ、あれは中学のPTA行事で登った時のこと
「先生ー、○○君がもじもじしてまーす。」
「い、いや、これは、ちょっと膀胱が膨らんでるだけで…。山頂まで持ちますから」
「うん?そうか。あんまり我慢するなよ。」
「はい!」ブリブリ
「……」
「せんせーい、○○君後ろから出ちゃった見たいでーす」
「きっしょ、あんたはカレー柄のパンツが好きなのね」
…俺って熊出山にいい思い出なかったのか
違うんだ。返事をしたときについ肛門の方に力が入っただけなんだ
先生の我慢するなよに応えたわけじゃないんだ。信じてくれよ
独りの弁明と、反省会は熊出山の山道入り口に来るまで続いた
山道といっても細い道などはなく、峠といった方が近い
活気あふれる木々が辺りを新鮮な空気で満たしている
道は基本的に開けていて、結構眺めもいい
現実を思い出し行き先を変えようか悩んでいたが山に罪は無いようだ
山頂からの眺めを期待し、俺は熊出山へと足を踏み入れた
少し進んだところで分かれ道がある
「どちらへ進もうか」
▶ 右に行く
左に行く