一年間暇だしなんか続けようとおもう ID:XqlIjAFb

192以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2020/09/25(金) 18:59:30.23 ID:XqlIjAFb

背中から冷ややかな汗と共に恐怖の波が全身を覆ってくる
俺はそのとき、逃げようと思った。しかし今手のひらとすねにぴったりとくっ付いているこの茶色い地面が接着剤のように張り付いて取れなくなるのを感じた
ささやかな葉擦れは俺を見下ろす不敵な笑いに、マイナスイオンを放っていそうな湿った地面は足がもつれるぬかるみに
顔を上げて堂々と立っているコイツを見ると山全体が彼女のテリトリーなのだと理解することが出来た
地面が接着剤のように感じるのは俺がびびっているからだ
迷っているのではという不安が遭難しているという確信に変わるときのような自然に対する畏怖が沸きあがってきたからだ
その不安のマグマは身体の中で燃焼し、蓄えられ抑えきれなくなって膨らんでいく、そしてある時コルクの抜かれたワインのように高くはじけてゆく
いつか雪山で遭難した人間が最期真っ裸になって走り回ったという話を聞いたことがあるがあれは事実だったのだ
外界への強い恐怖は自らの内なる基地外を引き留めておく糸をぶっちぎるトリガーなのだ!
俺はクマ野郎に背を向け疾風のごとく駆けた。そしてアイツに引き裂かれる前にくるりと振り返り、頭の上で両手を強く打った
「クマさんこちら手のなるほうへ!!」
逃げるためじゃない。楽しむためだ。最期はやっぱり楽しいのが一番だろうからなぁ!
しかしクマ野郎はジッとそちらにとどまって動こうとしない。豆鉄砲をくらったからじゃない、仁王立ちだ。待っているからもっと遠くへ行けという風だ。
「うひー!いいんですか?待っててくれるんですか?なら下山しちゃうよ!僕走るの早いからさ」
振り返って走り出す。三枚のお札in熊出山のスタートだ

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