一年間暇だしなんか続けようとおもう #97

97以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2020/02/11(火) 15:54:43.07 ID:IGK/I1L5

「どれ、この団子、一つ食ってみろ。」
非毛氈のひかれた椅子に座るこの男、家には必ずカギをかけ、辻斬りなんてどこ吹く風のこの町で、懐刀を忘れなかった
女だって、仲介人を用いて相手の気持ちと身辺を確かめてから出ないと絶対に手を出さない
今もちょうど、連れてきた犬に、団子の毒見をさせていたところである
団子屋を後にして、男が腹ごなしに辺りを散歩をしていると、石橋を見つけた
「ふぅむ、この石橋、渡れるだろうか。確かに幅と厚さは申し分ないが土台が緩く見えるな
遠回りするのも手だが、ここを通ることが出来れば団子屋への道が近くなリ、時間も有効に使えるというものだ」
男は初め、懐刀の柄で石橋をカツンカツンと叩いてみた、石橋はびくとも動かずその場にある
次に対岸に餌を投げ、犬に石橋を渡らせてみた。これもまた微動だにしていない
「うーん、ここらの土は水分が多くて安定しない。犬ではわからぬのではないか」
それから男は家から鋤を持ってきて橋の周りを掘り出した
「こうなれば石橋がどのように立っているか分かるまでは渡ることはできん」
それから三日三晩かけてようやく橋の全貌をあらわにした
後は土を戻せば渡れると、男はようやく確信し家に帰っていった
しかしその夜は大雨で、次の日橋を見に行くともう石橋はどこにもなかった
男はため息を付くことなく、少し自信気にこういうのであった
「あぁ壊れてしまった。やっぱりこの石橋は、頑丈ではなかったのだな」

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