一年間暇だしなんか続けようとおもう #149

149以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2020/04/05(日) 15:08:02.04 ID:qdG/J8lj

「それ寒くないのか」
 十分に楽しんだ後、付いた汗を惜しみながら流し冷えた体にいそいそとパンツをあてがいながら聞く
「ぜんぜん、だいじょうぶ、これ着るとあったかい」
ユウヒがチューブトップとホットパンツセットを身に付けながらいう
少し流暢に感じるユウヒの声は薄氷が太陽によって溶けていくように朗らかに耳に届く。先刻までつながっていた二人は、周りから見るものがあれば確かに愛を育んでいたに違いない
しかしこの男は違った。夕風にさらされた水がサッとユウヒの俺に対する熱まで奪っていくのではないかと恐れた
 俺、さっきまでは何も考えず腰降ってたがあれでよかったんだろうか。うぉぉ何せ初めてだったんだ。あれ以上は無理だ!
でも最初のキスも忘れてたし、へそのにおいをかぐのも嫌がられた…。つーかまさかクマにセックスの手順を教えられるなんて!!
 このようなことが男の頭の中を駆け巡っていた。何をしてもよいと始まったこのゲームだが相手の心まではどうしようもない
初めはただ性欲に意識を向けることでどうにか闘志を燃やすしていただけだ。しかし実際に行くところまで行ってしまった以上、それは唯一的な問題ではない
ユウヒの気持ちにまで踏み込んでいいものだろうか。そもそも行為中の行動に愛はあったのだろうか。いやしかし、今日あったばかりの男に処女まで散らさせた相手に、恋慕の情など沸くはずが…。
俺はこんなにも今ユウヒのことが好きだが、向こうは一体どう思っているのだろうか。と
今まで女性経験がなかったものの性なのか、確かなものがなければ安心することが出来ないのであった
「…ユウヒ、ちょっと来てくれよ」
とことこと歩いてくるユウヒになんだか悪いような気がして、呼び寄せておいて俺も立ち上がってユウヒに駆け寄った。それからポケットに入れておいた証をもとの所へそっと返した。
「やっぱり似合ってる」
パールだったイヤリングは夕日に照らされて琥珀色に輝いていた。ころころと違う表情を見せるそれはユウヒにぴったりだと思った
ユウヒは耳に着いたイヤリングを手で触った後、俺の方を訝しげに見てきた。それから気づいたようにと目を開くとくすくす笑いだした
「な、なんだよ」
俺はユウヒに心の中を見透かされているような気がして恥ずかしかった。だから靴下を履くふりをして背を向けようとしたらユウヒが抱き付いてきた。
それも結構思いっきり。それが最高にうれしかった
 
 それから俺は暇があれば、というかほとんどいつも暇なので熊出山に行った。でも俺からユウヒを見つけることはできなくて、いっつもユウヒに驚かされた
なんで初めて会ったときは俺が先に見つけられたのだろうか。まあそんなことはどうでもよくて、今はユウヒとなるべく一緒にいたい
草いきれに盛るセミの声は近く、俺は玄関を開けてユウヒのいる山へ駆けていった

Good end 完!!
ということで次からはまたいつもの短編に戻ります。暇があればいつかTure End 書きたいと思います

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