俺「人生についてちょっと悩んでてさ」
俺「それにいつまでも家でなにもしないで過ごすのも申し訳ないし」
母「だったら就職しなさいよ」
俺「その前にいろんな人と出会ってみたいんだ」
母「でも……どうするの？」
俺「とりあえず歩く」
母「いつ帰ってくるの？」
俺「1年くらいかなぁ。いやもっとかかるかも」
母「どうせそんなこと言ってすぐ帰ってくるんでしょ。夕飯なにがいい？」
俺「夕飯は俺の分いらないよ。もう今から行くから」
母「あんた本気なの？ 今って夜中の9時じゃないの」
俺「おう本気。じゃあ行ってくる」ﾃｸﾃｸ
俺「さぁて、なんとなく北に行こうかな」ﾃｸﾃｸ
俺「おっ！ラーメンの屋台はっけーん！」
俺「すいません」
店主「らっしゃい」
俺「味噌ラーメンください」
店主「はいよ」
客「あんちゃん荷物すげぇな。どうしたの？」
俺「ちょっと冒険に行くんです」
客「冒険？ この時代にか！ はっはっはっ！ どこに行くんだ」
俺「とりあえず北に行きます」
客「北のどこまで行くの？」
俺「行けるところまで行きます」
客「行けるところまでって！ 青森か？ 北海道か？ いっそ海越えてロシアまで行っちゃうか！ はっはっはっ！」
店主「はい味噌ラーメンおまち」ﾄﾝ
俺「いただきます」ｽﾞﾙｽﾞﾙ
客「大将、大将！ この若者のラーメンの代金は俺が払うから」
俺「えっ！ なぜそんな話に……」
客「おめぇが気に入ったよ。最近の若者はみんな利口になっちまってあんたみたいなバカをするやつがめずらしいんだ！」
店主「750円になります」
客「はい」ﾁｬﾘﾝ
俺「なんか……ありがとうございます」
おっさん「いいって。その代わり冒険頑張れよ」
俺「はい。頑張ります」
俺「いいおっさんもいるもんだな」ｽﾞﾙｽﾞﾙ
俺「ふぅ、さて勘定……は大丈夫なんだな」
俺「ごちそうさまでした」ｶﾞﾗﾘ
店主「はいよ。がんばってね」
俺「しばらく歩いたな。ずいぶん町から離れた。建物が全然ない。おかげでこの辺は星がよく見えるぞ」
俺「星座、全然わかんないけど……お、北斗七星！」
少女「ねぇねぇ」
俺「ん？」
少女「星がわかる？」
俺「いやぁおじさんにはちょっと難しいなぁ」
少女「そっかぁ残念」
俺「どうかしたの？」
少女「私のね、星があるの。でもどの星が私の星なのか見つけられなくて」
俺「ふーん」
少女「北極星って言うの。聞いたことない？」
俺「あー聞いたことあるよ」
少女「え、ほんと？ 教えてよ」
俺「あのへん見て。北斗七星あるでしょ？ 北斗七星のあの星とあの星を結んでずーっと線をたどった先の動かない星」
俺「あの星が北極星」
少女「あれが北極星かぁ」
少女「えへへ！ 私の星！」
俺「きみの星？」
少女「私ほんとは宇宙人なの。家族は北極星にいて、いつか本当の家族が私を迎えに来てくれるんだよ」
俺「きみいくつ？」
少女「5才！」
俺「かぐや姫みたいなお話だね。きみはどっちの家族と住むの？」
少女「今の家で両方の家族と暮らすの！」
俺「そっか。いいことだね」
少女「うん！」
俺「やべ……人の気配が全然ないとこまで来ちまった。完全に山道だわ」
俺「さすがにそろそろ寝たいんだけど」
カモシカ「フンッ！」
俺「うおっ！」
カモシカ「フンッ！」ｶﾀｶﾀ
俺「うおお威嚇してる！ こえぇぇぇ！」
カモシカ「フンッ！」
俺「すみませんすみません！ 別のところ行きます」ｻｻｻ
俺「はぁビビった。もうこのへんで寝ようかな。どうせ誰も来ないし」
俺「ぐごー……あれ？」ﾊﾟﾁﾘ
俺「なんだここ」
おっさん「あ、起きた」
俺「え……」
おっさん「昨夜、道で寝てたでしょう。あれじゃ風邪引くよ。起こしたけど起きないから、俺と息子でこの家まで運んだんだよ」
俺「ええ！ そうだったんですかすみません」
おっさん「そんなことよりなにしてたの？ あんなとこで寝てて」
俺「ちょっと冒険してまして」
おっさん「冒険？」
俺「はい。あとさき考えないで歩いてたらあそこで寝るハメになりました」
おっさん「おいおい、せめて計画くらいは立てなよ」
おっさん「そんなんじゃこの先も大変だぞ」
俺「そうですね。ちゃんと考えます」
俺「ありがとうございました。いつかお礼に参ります」
おっさん「はーい。元気でなー」
俺(あのおっさんヅラかぶってたな)ﾃｸﾃｸ
俺「さて、町に着いたぞ」
俺「ちょっと食料でも買おうかな」
女子高生「でさー」ｷﾞｬﾊﾊ
女子高生「てかこのへん臭くない？ おっさんの臭いするんだけど」
俺「……」
女子高生「ちょっと待って！ もしかしてこの人？ 臭いのこの人なの？」ｷﾞｬｰ
女子高生「あの、昨日お風呂入りました？」
俺「……いえ」
女子高生「やっぱりー！」ｷﾞｬｰ
俺(歩きっぱなしで汗もかいてるからな)
女子高生「まじありえないんだけど！ 臭いの移るわー！」ｷﾞｬﾊﾊ
俺(死にたい)
女子高生「朝からこれってなにやってんのこの人！ 逆に気になるんだけど！」
俺「冒険です」
女子高生「冒険とかウケル！ 小学生かよ！」ｷﾞｬﾊﾊ
俺「……」
女子高生「あークサクサ！ 早く学校行こう」ﾃｸﾃｸ
俺(……銭湯でも探すか)
俺「あった、銭湯」
俺「金かかるからあんまり入りたくないけどしょうがない」
俺「どれどれ」ﾁｬﾌﾟﾝ
俺「あーいいねー」ﾎﾜﾝ
じいちゃん「……」
俺「生き返るー」
じいちゃん「なに！」ｻﾞﾊﾞｯ
俺「え？」
じいちゃん「今あんた生き返ったのか？」
俺「え、はい。気持ちよかったです」
じいちゃん「どうやるんだ？」
俺「いや、普通に入るだけで生き返りますよ」
じいちゃん「それだけか！？」
俺「まあ、はい」
じいちゃん「それで絶対に生き返るのか？」
俺「いや絶対ってわけではないですが」
じいちゃん「うーむそうか。いやわかった参考になった。ありがとう」
じいちゃん「……ひとつの手段だな。いざ死んだら試してみよう」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ
俺(なに言ってんだ？)
俺「あーさっぱりした。風呂は定期的に入った方が良さそうだな」
俺「さて、食糧買い込んで冒険を続けるぞ」
その後も俺は北へ北へと進んでいった
道中いろいろあった
いろんな町に行き、いろんな人と出会った
俺の冒険は徐々に最終地点へと近づいていた
季節は冬になっていた
俺「そういえば今どの辺にいるんだろうなぁ」ﾃｸﾃｸ
俺「人はいっぱいいるけど」
俺「あ、看板だ」
俺「兼六園」
俺「そういえば行ったことないな。ちょっと寄るか」
俺「ふぅ。これが兼六園か」
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俺「さすが、良いところだな」
俺「この冒険もいろいろあったな」
俺「そろそろ終わりか」
俺「結局、俺の悩みは解決しなかったな」
俺「あれ……そもそも俺の悩みってなんだっけ？ たしか人生について……」
俺「くそっ……思い出せない。俺は何について悩んでたんだ？ 俺はどうしてこんなところまで歩いてきたんだ？」
俺「だめだ、思い出せない。なにかあった……俺は悩んでたんだ！」
その時、俺を強烈な光が包み込んだ
目を開けていられないほどの強い光
俺「うわっ！ なんだ！？」
やがて光は弱まり、恐る恐る目を開いた俺は愕然とした
兼六園ではない別の場所に俺はいたのだ
殺風景な景色のなかにずっしりとした大きな岩がひとつ
なんて事だ、ここは……
だ こ な
__ っ. こ ん
／ ￣￣ ｀ ､ た は. て
. ／::: : 〇＿＿__ |／￣｀ 、 の. リ 事
. /:: : . ＼/ 〇 ｀、 か ン だ
/:: : . ＼ 〇 | グ
. /:: : . / 〇 教
|:: : . 〇＿_＿_ 〇 /
-‐‐=|-..,_ ＼/ 〇
: :: ＼ .〇 /
: ::: . ::; :::.`'::.､:: : . /￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
: :: :: :; ::: .:: `':.､::: : . /::｀"''｀~"''''ｰ-‐ｰ-､,､.,,.、‐- _ ... ............ ......... ...... ...
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', -' ﾉ ヽ:::::::::', -' ﾉ ヽ::::::::::丿
`ー一' ￣ `ー一' ￣
完
感動した
お前らが登場してない
最後の最後に関係無いAAねじ込まれてるあたりセンスある
最近リング教再興の流れがある
良スレ
うまいじゃん
銭湯のくだり好き
チェオ
しょうもねぇ、でもすき