初めて母に手渡された時に、少し抵抗があったことを覚えている。
桃が大きく描かれたピンク色の缶。
黒や青は男のモノ、赤やピンクは女のモノ、と思い込んでいた
自分にとって、それは紛れもなく「女のモノ」であった。
父のような男になりたいと思っていた少年時代の
自分にとってソレは違和感しか無かったのだ。
私が飲むのをためらっていると、母はグラスに注いでくれた。
透明なガラス越しに見たそれは不思議な色をしていると感じた。
男のモノでも、女のモノでもない。全く未知の『世界』ですらあった。
眺めているうちに僅かに抵抗が薄れたので
思い切って飲んでみることにした。
>>3のような喉越し、>>7のような味わいが口いっぱいに広がり
まるで自分は>>10にいるのではないかという気さえしてきた。
グラスに注がれたソレを飲み干した時、口を衝いて出た。
「ここが>>13か」