俺の腹部に突き立てられた男の拳はめりめりと刺さり、俺は音もなくその場に膝をついた。
「がはっ…」
俺の口から血がぼたぼたとこぼれる。俺はなすすべもなく地面に伏した。
「おい、俺!」
倒れた俺に気を取られたお前らに、男は容赦なく襲いかかる。
「よそ見してんじゃねえ!次はてめぇだ!」
俺には目もくれず、男はお前らに鋭い右ストレートを放った。
「くっ!この野郎……」
それをお前らは間一髪のところでよける。息をつく間もなく男は立て続けに拳を振るう。お前らには反撃する間ももない。男はかなりの手練れだった。
だが、俺とお前らも決して弱者ではない。俺とお前らはその昔、まだ彼らが20代だった頃に、ちびっこ相撲大会に乱入し、大会を制している。この辺りでは無法者として通っていた。
「ひゃっはあ!おらおらどうした!」
男の攻撃は激しさを増していく。お前らはどんどん追い詰められていった。このままではお前らも直に男の鉄拳の餌食になるだろう。
(どうすればいい……)
「くらえ!」
男は体を大きくひねって左フックを繰り出した。お前らは体を屈めてかわす。