「買ってくるったっておめ、金持ってねえべしょ!まったく今日という今日は堪忍ならねえ!悪禁だべ!」
関李仁さんはますますヒートアップして村に伝わる恐ろしい刑罰を口にします。
「ひぃぃ!悪禁だけはやめてけろ!」
震えあがった寝譜男は、もう芋を持って逃げようと、ちらりと芋の方を見ました。
「あ、あれ……?なんだべ…?芋から芽が……」
「おめはまぁたそったら言い逃れを……本当だべ!」
不思議な事に、焚き火も消えてすっかり焼きあがったはずの芋から、芽がにょきにょきと生えてきていました。
「ど、どういう事だべ……オラ怖い……」
関李仁さんは怯えました。
「だ、大丈夫だべ!オラがついてるべさ!」
寝譜夫は虚勢をはりますが、まったく頼りになりません。
「で、でもなんだかいいにおいがしないだか?」
「あんれ!ほんとだべ!美味しそうなにおいがするだ!」
「食ってみるだか?」
「だどもおっかねえだよ……」
寝譜夫は無謀な事を言いますが、関李仁さんは尻込みです。