唐突な出来事に思考が停止したがこのまま沈黙を続けると不味いことは本能的に理解した
なぜなら女は明らかに扇情的な雰囲気を醸し出し
今すぐにでも手を出せるようにとうずうずと小刻みし続けている
俺はこの瞬間女の正体に気づいたが時すでにお寿司かもしれない
回らない脳味噌で俺は上手く相手を持ち上げて話を反らし廊下に逃げる算段をつけた
ドアを閉じただけでまだ鍵を閉めていないから隙を見れば可能なはずだ
後は自慢の足で逃げればよいし警備員なり人もいるだろう
男「あ…あはは…ビックリしましたよ…とてもユーモアのある方ですね…うん」
女「ふふっ…よく言われます」ガチャリ
男「あっ」
女「好きです」チュ
男「……と…とりあえず離してください」
女「嫌です」
男「そう……じゃあ悪いけど無理矢理引き剥がさせてもらうよ!!…ふん!!」ギリギリ
男「ふん!!!……あああああああああああああああ!!!!!」
男「……力強いね君」
女「ふふっ……忘れました?私の競技種目はカバディです」
女「カバディは器具や球技道具を使わない本能のスポーツなんです」
女「ディフェンス時には陣地に入った相手を逃さないためがっちり捕まえます」
男「俺はあんたの陣地に入った覚えはないんだが…俺の部屋だからねここ」
女「中学の時逃げるあなたを追いかけてたらたまたま通りかかった関係者にスカウトされたのです」
女「あなたのその押さえきれない本能を生かしてみないかと言われました」
男(俺を助けろよ…)
女「その時私はカバディの技術であなたを捕まえられるのではないかと不純なことを考えていたのです」
男「自覚あったんだね」
女「しかし父親が左辺されて遠くに引っ越すことになり…あなたに会えなくなりました」
男「喜んでいいのかこれ」
女「引っ越して自暴自棄になっていたある日新聞であなたの記事を見ました」
女「『2020年オリンピック日本代表濃厚か』…私の目指す場所が決まりました」
女「そしてここオリンピックで運命の邂逅を果たしたのです」