プロデューサー「先生ー。連れてきましたー」
ワゴン車が停まったのは、住宅街に佇む小さな個人病院の前だった。
プロデューサー「まあいいや、入っちゃおう」
ガラガラガラ
野獣先輩「……」
つぼみ「……」
女「お邪魔します」
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プロデューサー「先生ー?」
「あーこっちこっち」
プロデューサー「お邪魔します」
野獣先輩「……オッス」
つぼみ「……お邪魔します」
女「……」
梅毒「やあおはよう」
梅毒先生。彼もまたガスマスクで顔が覆われているが、その風貌はホームレス、それとも何日も帰っていない科学者だろうか。
医者には見えない。とにかく小汚ない印象を受けた。
梅毒「まあ座って座って。あ、そのへんにあるパンとか食っていいからね」
野獣先輩「あざす」
つぼみ「ありがとうこざいます。頂きます!」
梅毒「つぼみちゃんリアルで見るとかわいいね~」
つぼみ「……」
プロデューサー「早く話を進めて」
梅毒「んだね。じゃ、まずは事の始まりから」
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要約すると、
つぼみと野獣先輩の撮影で、お互いの体液が混ざりあい、どういうわけか謎の細菌が生まれた。
梅毒「僕は『特殊型偏性細胞内寄生体(とくしゅがたへんせいさいぼうないきせいたい)』と呼んでいるけどね。長いし略して『変態』でいいか」
そいつは簡単に言うと微生物。
しかしその微生物は自身じゃ増殖することができず、別の生物の細胞に寄生して自身を増殖させる。
つぼみと野獣先輩の中で生まれたこの微生物は、二人に感染することはなく、二人を媒介して接触感染、唾液感染し、少しずつ拡大していった。
梅毒「こいつの厄介なところは今のところ致死性が100%。そして寄生先が人間の脳内、大脳辺緑系という主に快楽を感じる部位だということ」
梅毒「更に言うと、この『変態』は学習能力が高すぎる。ここ最近で感染者がグッと増えてね」
接触感染と唾液感染だけじゃ感染効率が悪いと思ったのか、空気感染、経口感染にまで適応した。
そして、
梅毒「ワクチンの開発目処が全く立っていないこと」
つぼみ「……ど、どうするんです?」
梅毒「今必死に開発中だよ」
野獣先輩「……」
梅毒「感染体は知っての通り、いわゆるゾンビとなる。が、ゲームや映画と異なる点は別に腹が減っているわけじゃないってこと」
女「どういうことです?」
梅毒「快楽を求めてさ迷っているのさ。性的快楽をね。つまり、襲われたら犯されるってこと」
つぼみ「最悪ですね……」