ブサメンフリーター(42)「......正月、か」 ID:nt6uHjnD

1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/01/02(土) 06:15:21.76 ID:nt6uHjnD

ドンドン ドンドン

ガキ「おーい!!おーい!!」

ガキ2「誰かいんの!おーい!!」

伯父「ほら!やめやめ!そろそろ帰るぞ」

ギャハハ ハーイ キャッキャッ......



「......クソが。やっと帰りやがった」

ふっ、と一息。ドキドキと高鳴っている胸が収まるのを待つ。

「......ざまぁねぇな......」

見慣れたカレンダーはゴミ箱に捨てられ、壁には真新しい日めくりカレンダー。1月1日。
来る新年。本来素晴らしきはずのこの日に、部屋の中で親戚のクソガキの声にビクビクと怯えている俺は、きっとこの世界のヒエラルキーのかなり下にいることだろう。

いつからか、朝が嫌いになっていた。
夜更かしをしたいから?......違う。
朝を起きるのが辛い?......それはまああるけど違う。
次の一日が、俺という人間が一日年を取って行くのが怖かった。
そこそこの大学を卒業したが選り好みをしすぎて就職が決まらず、気がつくとこんな断崖絶壁に立っていた。

「......ざけんな。くそ。......ざけんなよ」

悪態をついて寝転がる。
まだ夕方の6時だが、いい。このまま眠っちまおう。
どうせ明日の昼にはバイト先だ。
いつもより早く起きて、部屋の掃除でもすりゃいい。
瞼を閉じる。

このまま朝が来なきゃ良いのに。

3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2016/01/02(土) 06:30:31.73 ID:nt6uHjnD

結局、真夜中に目が覚める。
実家暮らしとはいえ、自分勝手な不規則な生活で体内時計は滅茶苦茶だ。

「......水でも飲むか」

洗面所に行き、コップに水を汲み取る。
一気に飲み干し、吹き出物だらけの醜い自分と睨み合う。

「......なに見てんだよ、不細工野郎」

ポツリと呟き、洗面所を後にする。
万年床の布団に寝転がりスマホを弄っていると、突然、頭がズキズキと痛みだした。

「......いっ......なんだこれ。......くっそ。寝ちまおう」

毛布を被り無理やりに寝付く。
正月から風邪か?まったくおめでたい。
痛みは続き暫くはうなされていたが、やがて深い眠りについた。


朝。
ベランダでチュンチュンと鳥が囀ずっている。畜生共は陽気なもんだな。
思い体を起き上がらせようと、ふっと力を込める。
拍子抜けするほど簡単に起き上がった。
なんだ。風邪気味でダルいかと思ったら、絶好調だ。
だがおかしい。体が妙に軽い。それどころか、かなり小さくなっている。
あーなるほど。そういう感じか。
普通はここで髪を触ったり体を触ったり、まどろっこしい描写を重ねた後で結論に行くものだが、エロマンガや小説でこのシチュエーションになれている俺にはそんな事は必要なかった。

2016年1月2日。 俺は女の子になっていた。


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