信じられない発言に驚いた我々の心を見透かすように、カチャンさんは続ける。
「不思議だよねえ。でも、私たちにとっちゃこれが当たり前なんだよ」
子供の体を拭いてやると、カチャンさんはメラさんに赤ん坊を返す。
「立派な触手に育てておやり。名前は今晩、あたしのうちで決めよう。お祝いの準備はアチャラがしてくれるからさ」
父親というものがいないこの村では、村長が全てを取り仕切っているのだ。
「おかあさーん。準備できたよ!」
駆け込んできたのは、先ほどのアチャラさんだ。
先ほどと違い、触手は彼女の全身を鎧のような形になって覆っている。
手や肩に、武器らしき形さえ見える。
「ああ、立派な姿じゃないか。行っておいで。この人たちも連れてね」
こうして我々は、アチャラさんたちの狩りを取材させてもらえることになった。