ドアがひらいた。相変わらず闇なのでカツッカツッという足音だけが反響する。
少女は掛け布団を引き寄せ、震えていた。
「お目覚めですかな。大事なお客様」
闇から声が聞こえる。それが彼女の恐怖を増長させた。
「私は、死んだのに、生きているのね・・・」
小声で彼女はそうつぶやいた。
「そうね、あなたは生きてるわ。私達はあなたをむざむざ死なせはしないもの」
聞かれてる・・・のか
体中を見渡したが、特にマイクらしきものをみつけられない
好感度マイクか・・・!
「なぜ、あなたは、私の声が聞こえるの?」
かぼそい声でつぶやいた。これだったら大丈夫だろう・・・
「あなたの声帯にチップを埋め込まさせていただいたわ。
今の多目的ロボットは皆そうしているの。すべて発した言葉はログにしてとってあるわ」
と、言い終わると「生きているのね」というさっきの少女の声が闇の中から聞こえてきた。
頭ががんがんする。とっさに掛け布団の中に潜った。
はっ、とさっきの女性の言っていた不可思議な単語が頭をよぎった。
「・・・。私は、”多目的ロボット”なの?」