「人類再製、か。人間が再び1になる時が来たのだな」
一人の白衣を着た老紳士が暗闇の中央でボロボロのソファーに座っていた。
隣にはもたれかかるようにしてタキシード姿の青年が立っている。
影で顔はわからないが、姿から見てぱっとみ10代前半に見える。
しかし醸しだす空気は、10代前半のそれではなかった。
「もう我々は科学、医療、工業、全てにおいて成熟してきました。
すなわち我々はどこかでストップさせないと、進化の最終、すなわち滅亡へとたどり着いてしまうのです」
「左様。そして我々は滅亡への道を歩み始めている。地球温暖化、フロンガス、砂漠化、
そして一歩間違えば人類の滅亡、核の開発だ。ものの見事に自然の摂理通りにことが進んでおる。
しかし、我々は自然の摂理なんかによって滅びとうない」
「それゆえ、我々はなんとしてでも人類再製をしなければならんのだ」
すっくと老紳士が立ち上がる。
それと同時にタキシードの青年が叫んだ。
「さあ、始めよう!我らの革命、我らの正義を貫くために!」
その声は闇へと消えていく。
と、同時に万歳の声が反響し始めた。
照明をつけると、そこには何百人もの群衆が立ち上がって万歳の声をあげていた。
ニヤリ、と老紳士は笑った。