「1985年。わたしは一人の少女を生み出した。もちろん生物学的な生み出し、ではない。当時のわたしの知識、経験、そして科学的好奇心から創りだされたロボットだ。機種名は”KAZMI”。もう分かるだろう?」
そんなフィクション、あるわけがない。ちゃんちゃらおかしいお伽話だ。
「脳はアメリカで研究されていたAIチップをパクってきた。皮膚、臓器は全部当時の最先端技術の人工皮膚だよ」
「わたしは出来上がったKAZMIを溺愛し、親子のような関係だった。しかし本物の親子にはなれなかった。所詮は創造主だったのだ」
「だからわたしはAIチップをコピーし、親のプログラムを作り、親も生み出し、家を買い、ペットの犬までも買った。これで本当の家族だ!当然わたしとの関係も消そうと思った。だが、最後のわたしのKAZMIへの愛情がそれをさせなかった」
「彼女にとってわたしは今はマジックのタネ屋さんとして存在しているわけだ」
笑うしかなかった。あんなに感情豊かな和美ちゃんが、ロボットだなんて、
あんな真面目で可愛い和美ちゃんが・・そんな・・・・バカな・・・
「ウソを言うのもいい加減にして下さい!」
ぱさり、と冊子を手渡した。 何であるかは理解できる。
しかし、読みたくなかった。
「ちょっと前、君の学校の担任が消えただろう?」
「なんでそのことを知っているんですか!?」
「彼女には弱点があった。その弱点がこの事件を引き起こしてしまったのだ」
「その弱点は!?」