そういうことで僕達は無事にマジック専門店にたどり着くことができた。
しかし、特に特徴のない商店だ。若干寂れている感じも他の店とは変わらない。
看板には何も書かれていない。ぱっと見閉店しているようにも見える。
「おもしろいお店」と和美ちゃんは言っていたが・・・はて?
カランカラーン、と軽いドアベルの音が鳴り響く。
見るからにがらんどうだ。あるのは真ん中に無造作に配置されている長机と椅子だけ。
「おじさーん、いるー?」
中には誰もいませんよ?
すると、足音がどこからともなく聞こえてきた。
上か、奥か?
・・・下だった。
ちょうどテーブルの下が入り口になっているらしい。がぱっと扉が開くと床から手で「こっちへ来い」と催促された。
机をどかし、下に入る。和美ちゃんは鼻歌を歌いながら軽々と入っていった。
はしごで降りてみると、鉄の螺旋階段になっていた。風が下からピュウピュウと吹き上げている。
相当深いところまであるとみた。
下を除くと闇、コンクリート壁に等間隔でにランタンが引っ掛けられている。
前には和美ちゃんと、その店主らしき人が降りている。暗くて素性がわからない・・。
まだまだ続く・・・一体どこまで下がるんだ・・・。
ぺちゃくちゃと和美ちゃんとその人が話しているようだ。
・・・ぼんやりとした光が見えた。もうすぐか。
和美ちゃんらが中に入っていく。僕も入らなきゃ。