次の日、いつもの美味しい朝食を食べつつ、和美ちゃんは駅の路線を確認していた。
無事お祭りが成功したということでお父さんからおこづかいをもらったので、それを使って隣の地区で物品を買いに行くそうだ。
ここの地区は山が障壁となって、隣の地区に行こうとしたら必然的に電車を使わなければならなくなってくるのだ。
僕も久しぶりに外の空気を感じてみたかったので、楽しみだな。
「行ってらっしゃーい」
『行ってきまーす』
駅は二時間に一本の超スローペースのため、駅まで走っていかなければならない。
次は10時発の電車か。風にさらさらとなびく和美ちゃんのロングヘアーが素敵だ。
やっぱりさらさらとした髪は映えるなぁ。
そしておめかしをした服装で、チェックのスカートをなびかせる。
そこから少し見える太ももがとても健康的な少女に演出する。
「私の体はは和美ちゃんに見られるためにできてませーん」
目線に気がついていたようだ。よし、それなら!
「和美ちゃんの髪っていい香りがするよね~、かがせてっ!」
飛び込むようにむんずと和美ちゃんの髪をつかむ。
「シャンプーおんなじなんだし、別に髪の香りは一緒じゃないの?」
走りながらなので、体勢がきつくなる。
僕はつかんでいた髪を離すと、和美ちゃんの体勢ががばっと崩れ、倒れる!
それに合わせて僕も倒れる!
幸い道が芝生だったから、汚れが無くて怪我もしなくて良かったけど。
「ごめんね・・・」
「いいよ、でもあと10分!」和美ちゃんは悲鳴を上げた。
見ると9時50分。
「大丈夫」なぜかその言葉が僕の口からついて出た。
僕は和美ちゃんの手をとって走りだした。
駅まであと500m。がんばれ僕の体!
駅についた。時計を見ると9時58分。なんとか間に合った。良かったよかった。
そうして僕と和美ちゃんは電車に無事乗ることができたのである。