あっという間にお皿には何もなくなり、食後のカップアイスを食べつつテレビを見ている時だった。
「それで、君は娘を守ってくれるのだね」いつになく真剣な顔をして和美ちゃんのお父さんがそうポツリと言った。
もう事は知っているようだった。
「はい。娘さんを僕が命にかえてでも守ります」
数秒の間があり、穏やかな顔に戻った。
やはり、一人娘は何にかえることもできないんだなぁ。
僕のお父さんもそれくらいの気持ちはあってもいいのに。ぶぅ。
ふぅ・・・ふろは気持ちがいいなぁ・・・
「そうだねー気持ちがいいねぇー」
何故か一緒に湯船にはいっている和美ちゃん。
裸同士の付き合いをしたいということで風呂に一緒に入りたいらしい。
地味に僕よりあるじゃないか・・・。
ちょっと自慢だったのに・・。
裸の付き合い、か。
「さあ、寝ましょう。」和美ちゃんは電気を消した。
電気を消すと、窓から今まで気が付かなかった星々が鮮明に、そして美しくきらめいていた。
「うう・・・先生、先生、せんせえ・・・」
和美ちゃんは毛布にくるまり、震えていた。
僕は何もすることができないのか・・・
和美ちゃんのお父さんのあの穏やかな顔を思い出す。
そうだ、僕は和美ちゃんを守らなきゃならないんだ!
僕はくるまっている毛布ごと和美ちゃんに抱きつく。
今はこれしかできない。何も言えないんだ!
和美ちゃんは必死に抵抗をする。でも僕はやめなかった。
これが守る方法だとわかっていたから。
「大丈夫。大丈夫だから。守るから!」
今どき「大丈夫」ほど大丈夫じゃない言葉はないが、それでも和美ちゃんは安心したらしい。
抵抗は緩やかに収まり、もう安心したのだろう。そのまま寝息を立て始めた。
ほっと一息つき手元にあったカレンダーを見る。
今日で一週間目。時が経つのは早いなあ。
見ると明日の土曜日にバツ印がある。
例の祭りの日か。結局「ササゲミ」について聞かずじまいだったしどんな祭りなんだろう。
和美ちゃんは練習に精を出してると聞いた。明日が楽しみだ。