次の日。
ぼんやりとした微睡みを、看護師の声がかき消す。
ナース「ほーら、いつまで寝てるの?娘ちゃん」
そう言うや否や、少女を包んでいた毛布を無情にも剥ぎ取る。
ナース「はい、検温しますよ。腋に挟んでね」
娘「......はぁい」スッ
しぶしぶ頷いて体温計を挟みこむ。
先っぽの金属部分が、脇の下を一瞬ヒヤリとさせる。
ナース「もう、どうしたの?あんまり眠れなかったのかしら」
娘「......は、はい」
ナース「......娘ちゃん」スッ
看護師は優しく少女の肩を撫で、
ナース「......大丈夫よ。すぐよくなる。......きっとよ」
体温計が音をたてるまで、そう優しく励ました。
昨日、夜遅くまで甘美な美食の旅に出ていたから寝不足であるのだとは、言えるはずがなかった。