こうしてサフォンの会議場に辿り着いた三人
他の神々はハダドの逞しい姿を見てヤムよりも王にふさわしい存在だと感じ取ります
そして定例のエールを中心とした会議が始まります……
アナト「偉大なるハダドをサフォンの頂に」
アスタルト「崇高なるハダドを我がバアルに」
ほとんどの神々はアナト達の意見に賛同してバアルを擁立しますが、一人だけその意見に賛同しない神がいたのです
それは絶対なる父神エールその人でした ヤム=ナハルの使いでありヤムそのものでもある分身の龍リタンは言います
リタン「ヤムこそが王にふさわしく、ナハルこそが上に立つにふさわしい」
エール「そうだ、ヤム=ナハルが王である。ハダドはヤムの台座となり、バアルはナハルの椅子となれ」
リタン「隷属であるバアルはアナトを引き渡し、従者であるハダドはアスタルトを献上しろ」
ハダド「ならば私がヤムを打ち倒し、バアル・ハダドがナハルを滅ぼす」
こうしてヤムとバアルは決闘を行うことになったのです
余談ですがこのお話の元であるラスシャムラ碑文はこのように同じことを別の言い方で言う韻を踏んだ対句法がされて
います
それは碑文が読むものではなく歌として歌うものだったということを表しています。