アナトは晴れて王となったバアルの祭儀の間も心が踊りません
ホイホイと信仰を変える人間たちのことを本心からは信じていないのです
アナトはバアルの妻ですが処女神なのです。処女膜の有無の話じゃありませんよ
つまるところ貞操観念の話であり性欲に溺れず自分の夫だけを愛すると誓えるのが処女なのです
さてアナト、自分の神殿に戦神である自分を信奉する兵士達を招いたはいいものの
彼らの執り行う祭儀にやることなす事が全部気に食わないのです
モートの時と同じように、ふっと彼女の中で何かが切れました
アナト「100!」
アナト「500!」
アナト「1000!」
次々と、数え切れなくなるまで兵士を殺していくアナト
人間の脂肪で身体を洗い、人間の血液で髪を洗い、彼女の心を満たしていきます
ですけどバアルはそんなことをよしとしません。豊穣神なのですから
バアル「バアルの敵であるナハルを倒し、ハダドの障害であるリタンを倒し、王の仇であるモートを倒したアナト」
バアル「キミの戦いの役目は終わった。今度は私と共に豊穣神として愛を振りまいていこう」ぎゅうっ
アナト「……はいっ! 我がバアルであるハダドの命ずるままに!」ぎゅー
こうしてセクメトがバステトになったように、カーリーがパールヴァティに戻ったように
アナトもまたバアルの妻として、全ての人間の王の母になったのです
バアルとアナトの子ども達、つまり人間の王の話はまだまだ続くけど
ウガリットの神々の神話はこれでおしまい
ヤハウェ「俺が出てないぞぉおおおおおおおおお」