ある王国の村の外れに、百姓の男と美しい毛並みの白銀の狐が住んでおりました。
男「松の辻の婆さんから、鶏の卵を別けてもらったよ。食べな」
狐「はぐはぐ」
男「初めて出会ったときは、だいぶん弱っていたが、すっかり元気になってよかった」
男「お前が、ここに住み着いてくれたおかげで、辺りの田畑でネズミやスズメの害が減って助かっているよ」
男「ありがとうな、狐」
狐「…」
男「だが、ネズミが減ったおかげで、お前の食い扶持も減ったんじゃないか?」
男「まあ、多くはないが、出来るだけ飯を別けてやるから、勘弁しておくれ」
狐「くぅん」