男には改めて非礼を詫びなければならない。
そして力を貸してくれたこと、本当に感謝している。
いろいろ聞きたいことがあるだろうが、まずは男、貴方のことについてだ。
召喚魔法はこちらの世界に招くことは出来るが、元の世界へ送り返すことはが出来ない。
向こうの世界で男が見た側近は思念体、実体の無い幻のようなものだ。
研究は続けているが、送り返す方法は見つかっていないのだ。
本当にすまない。
次に情勢だ。
我が国は魔王国、大陸の北に位置する。同じく大陸の東に東国、西に西国がある。
南は、かつて国があったが大戦が起こり海に沈んでしまった。今では島がいくつかあるだけだ。
男を召喚した時、我が国と西国は戦争をしていた。
奴らは密かに準備し、侵攻してきたのだ。
押し込まれたが戦線を拮抗させるまでは出来た。しかしACにはACでしか対抗できない。
独立勢力、ましてや東国が西国に呼応して動いていれば我が国は滅んでいた。
だから男には、本当に感謝している。
貴方に報いなければならない。
この国をもってしたいが、そういう訳にもいかない。
ならばせめて、自ら羽ばたける鳥になって欲しい。