小説書くからお題くれ #19

19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2015/03/19(木) 12:05:50.66 ID:647K6tEA

「じゃあ白いカラスに入ったのは偶然なのか、名前とか関係なく。私にはなにか運命めいたものに感じるんだけどな」

「科学者は運命など信じぬ、ただの偶然だ。稀であるとはいえ先天性白皮症で白いカラスも存在はしているのだからな」

 なるほど、この受け答え確かに白鳥は科学者らしい。驚きというかなんというか。

「で、戻れないのか?」

「装置が無ければ戻れん。そして身体同様装置もここへきてないという事は一生戻れないという事だ。そもそも……」

 そう言って白鳥は俯いた。

「そもそも?」

「そもそも飛ばされたのが記憶ならば、この私は私ではないのかもしれない。確かに人間の心は記憶によって作られるものではあるんだが……」

「それはそうだが、記憶が心ならば問題ないんじゃないか?」

 人間の思考や喜怒哀楽が記憶によって作られているのならば、記憶こそが心であり自我ではないか。何が問題なのだろう。

「例えば、お前の昨日までの記憶をコピーして全て見た目もまったく同じ人間に入れたとしよう。するとその人間は自分はお前だと自覚するだろう。しかし、お前とその人間は同一人物か?」

「そりゃ……ん? どっちだ?」

「まぁ答えは無いがな、タイムマシーンが出来るほどの未来でも心の実態と『自分』とは何かは解明されておらんのだ。しかし、どうも私は私で無い気がして不安でならんのだ」

 考えすぎで不安になるとは、頭がいいというのも善し悪しらしい。一瞬社会からドロップアウトするほど頭が悪くて良かったと思ってしまった。

「難しいことは分からないけど、どうでもいいんじゃないのか?」

「どうでもいいわけがあるか、自分が自分で有るかも分からんのだぞ?」

「私だって確固たる自分が有るわけじゃないし、ひょっとしたらどこかで誰かの記憶を入れられているのかもしれない。同じじゃないか、そんな悩みは皆持ってるんだよ」

「……むぅ」

「ま、なるようになるさ。私みたいに頭空っぽにして暮らすってのも楽しいものだぞ?」

「ふん、お前と話していると全てがどうでも良くなるな。ホームレス体質というのは伝染するのか?」

「ははっ、かもな。世の中には分からんことばっかだからな」



終わり

短いけど全然思いつかなくて時間かかった
あと読みやすいようにセリフの前後に改行いれたけど読みにくかったらスマソ

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