おっさん「……これ本当に面白いですかね」
プロデューサー「当たり前だろーが。今ごろタカラトミーは社員全員でハワイにでも行ってんじゃねーの」
おっさん「そんな売れてるんですか……」
プロデューサー「さぁな。カードもおもちゃもこれからだろうな。まぁ、まだまだ始まったばかりだし、よろしく頼むわ」
おっさん「はぁ……」
ーーーーーーーーーー
おっさん「ただいま……」
ドアバタン
おっさん「……」
おっさん「ただいま、ジン子」
ジン子「おかえりなさい」
俺の唯一の家族
羊のジン子
おっさん「……俺さ、今の仕事さ、辞めようかなって思ってる」
ジン子「……どうして?」
おっさん「いや、合わないかもなぁって。ほら、俺は正義の味方に憧れてこの仕事選んだんだけどさ」
ジン子「……」
おっさん「本当は『中の人』じゃなく、表で光を浴びたいなーって。子供たちが本当になりたいのは、中の汚いおっさんじゃなくて、格好いいイケメンの仮面ライダーなのかなーって」
おっさん「当然、俺はイケメンじゃない。でもこのまま縁の下の力持ち的なポジションじゃ……」
ジン子「あなたが子供の頃なりたかったのは、『正義の味方』よね?」
おっさん「……」コクッ
ジン子「正義の味方は、『輝いてる俺を見てくれ!』なんて、一言も言わないはずよ」
おっさん「……」
ジン子「真逆。地道に悪者を倒して、苦難を乗り越える姿が、子供たちに勇気を与えるの」
おっさん「……」
ジン子「その正義の味方の本当の姿がこんなに汚いおっさんだとしても、子供たちは真似をするわ」
ジン子「だって正義の味方に、イケメンも不細工も関係ないもの。中の人だろうが表の人だろうが、子供たちは『正義の味方』になりたいの」
おっさん「ジン子……」
ジン子「ね?だから元気を出して……」
おっさん「……ありがとうグスッ」
ジン子「いいえ……あなたが買ってくる餌がなければ、私は生きていけないもの……」
おっさん「……でもまだ元気が足りない希ガス」
バサッ
ジン子「えっ、ちょっ、ちょっと……」
おっさん「なぁ、ええやろ?その羽毛でシコシコさせてくれや」
ジン子「そっそんな……」
おっさん「ウヘヘヘヘヘ!ほら、おじさんのジンギスカンこんななってもうてるやんけ……」
ジン子「もう……優しくしてよね///」
ムギュウ……
おっさん「アァァ……埋もれるぅぅ……優しく包まれるぅ……」
ジン子「あっ……だめ感じちゃう……!毛の一本一本の神経がジンギスカンに浸食されちゃう……!」
おっさん「ほぅらほぅらぁ……」ムギュッムギュッ
ジン子「あっああぁ……だめぇ!摩擦ッ!摩擦でダメージ加工されちゃうのぉおおおおお!!!」
おっさん「グッ……で、でる……!」ドピユッ
ジン子「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
おっさん「ふぅ……」
ジン子「……はぁはぁ」
おっさん「……ジン子ありがとう」
ジン子「……私も……幸せよ。ありがとう……」