ダンボール「やっぱりあなた、最高の歌声だわ!」
おいたん「あぁ知ってるさ……。俺は昔ミュージカル俳優を目指してたからな」
ダンボール「でも、だからこそ心配なこともあるの……」
おいたん「ん?なんだ?」
ダンボール「いつか私……廃品回収に出されるんじゃないかって……」
おいたん「そんなわけない。俺がお前を家に選んだ理由……何度も言ったろ?」
ダンボール「えぇ……。でも私、不安で不安で……。お願い、あの言葉をもう一度言って……?」
おいたん「はぁ……しょうがねぇな……。好きだぜ、ダンボール」
ダンボール「……」
ダンボール「それ本当に思ってるの……?」
おいたん「思ってるって」
ダンボール「なんか気持ちこもってない。まるでダンボールに話してるみたい。なんなの!?私は、あなたにとってただのダンボールなの!?」
おいたん「違う。お前は特別だ……」
ダンボール「……そう」
ダンボール「ごめん、私ちょっとおかしかった。最近ストレスで雨がよく染みるの……」
おいたん「お、おいおい……大丈夫なのかよ……」
ダンボール「大丈夫……。だからお願い、あの言葉をもう一度言って?」
おいたん「好きだぜ、ダンボール」
ダンボール「またなんか気持ちこもってないんだけどー!!私はあなたにとってなんなの!?ただ雨風をしのぐだけの存在!?違う!私はもっと輝けるの!!なんであんたみたいなホームレスと一緒に………………」
おいたん「はぁ……」
おいたん(こんなやり取りでも、俺にとっては大事な習慣だ)
おいたん(最初ここに来た頃は、誰とも会話なんてできなかった)
ダンボール「だいたいあなたいつも帰りが遅い!昨日だって何してたの!?私は必死に床を暖めてたのに!!」
おいたん(こうして対等に怒ってくれて、同じ目線に立ってくれる)
おいたん(あいつらとは……大違いだ)
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