8月
世間ではとっくのとうに海開きがされ、幸せな家族が浜辺でBBQをする季節。
……無職童貞の俺には蒸し暑いし、蝉は煩いし、最悪の季節だ。
部屋はジメジメ、
時々迷子の蚊がフラフラ迷い込んで殺虫剤の餌食になる。
そんな劣悪な環境の中、俺の目の前に1人の天使が舞い降りたんだ。
8月
世間ではとっくのとうに海開きがされ、幸せな家族が浜辺でBBQをする季節。
……無職童貞の俺には蒸し暑いし、蝉は煩いし、最悪の季節だ。
部屋はジメジメ、
時々迷子の蚊がフラフラ迷い込んで殺虫剤の餌食になる。
そんな劣悪な環境の中、俺の目の前に1人の天使が舞い降りたんだ。
ー8月の正午ー
男「チッ! エアコンの冷房がまるで温風の様に感じられるぜ」
男「エルニーニョも本気出してきたみてぇだな……」
男「しかし暇だ!」
男「図書館にでも行って涼むか」
男「よっこらしょっと」
男「うっ……脇汗やべぇ」
アパートの扉を開けると夏特有の熱気がむわりと俺を包み込んだ。
男「うわっ……サウナかよ」
男「……ん?」
階段の下にゴスロリ衣装の美少女がちょこんと立っている。
男「外人?」
スッと鼻筋の通った端正な顔、雪の様な白い透き通った肌。
間違いなく北欧系の人間だが……。
男「こんな炎天下に、たった一人ゴスロリ衣装で棒立ち……通報すべきか?」
男(いかん、幾ら美人でもキケンな匂いがする)
男(関係してはならない、君子危うきに近寄らずだ)
少女「あの……」
男(無視だ無視!)
ガシッ
男(痛たたっ! この子握力何kgあるんだよ!)
男「痛いから手放して貰える!?」
少女「あっすみません! ちょっとあなたに用がありまして」
Next初SSスレじゃね
男(日本語ペラペラじゃん ハーフか…?)
少女は手の力を抜いたが、そう言ったきり黙ってしまった。
陽に焼かれた階段の照り返しで俺の額にはもう汗が滲んでくる。
俺は言葉を待ちながら、少女を見て気付いた。
男(このクソ熱いのに汗一つかいてない…)
④
期待
書いてもいいのよ
随分季節感のないこと
だがそれがいい
男(ったく……汗もかいてないしこの少女ナニモンなんだよ…)
男(うまくやりすごすか)
男「用? 生憎俺にもこれから行かなきゃならない場所があるんでね」
少女「で、ではご一緒しても構いませんか?」
男「困るな、図書館で私語は厳禁なんだ」
男「どうしてもと言うなら図書館の前で待つか、そこらのカフェに位置していてくれ」
少女「は、はい……」
彼女は少し寂しそうだった。
ー図書館ー
男(ふむふむ……ヒンディー語は日本語と同じSOV文型なのか……)
本のページを捲る度に少女の悲しそうな表情が脳裏に蘇る。
男(今頃何してるんだろう、猛暑だってのに……)
男「待て待て、俺はあいつと何の関係もないぞ」
男(くそっ! 全然集中できねぇ)
男(今日は帰るか……)
自動ドアの向こうには
少女「ご、御用は済みましたでしょうか……?」
アイツが姿勢正しく立っていた。
男「この炎天下の中ずっとその衣装で待っていたのか!?」
少女「ゴスロリは私の基本装備です。外す訳にはいきません」
男「熱中症とかなったりしない?」
少女「腕、触ってみて下さい」
恐る恐る人差し指で彼女の右腕をつついてみる。
氷を思わせるほど冷んやりとしていた。
先程の汗といい、腕の冷たさといい何かがおかしい。
少女「定期的に水分も摂ってますし、脱水症状も気にしなくて大丈夫です」ニッコリ
男「ほぉー……」
期待
でもssじゃなくて小説みたいだな
男「で、用は何だ? 俺に北欧の知り合いなどいなかったはずだが」
少女「……」
少女「単刀直入に申し上げてもよろしいですか?」
男「あぁ、できるだけ簡潔にな。そちらの方が助かる」
少女「私は……」
少女「私は今からあなたのお嫁さんになります!!」ペコ
男「は?」
見てるぞ
はよ