お、どっか行った。そのまま消えて。
と願うもそれはUターンしてまた不快なギィィ…という音と共に車の背後に。
もう気が狂いそうでした。
ゆっくり鳴っていたその音はテンポを上げ、すごい勢いで音を増しながら戻ってきたのです。
ギッギッギッギッギッギギギギギギギギギギギギギ
と狂ったように鳴り出した音は脳に響くほどの轟音で車外をぐるぐると回り続けていました。
何も考えられず、ただ頭の痛みに目を瞑りながら耐える地獄のような時。
動いたらいけない、外を見てもいけないと必死に耐えて数分。鳴り狂う音がまた少しずつ離れて行ったのです。
音が小さく離れた頃には初めのようにギィー…ギィィー…と落ち着いていて、やがて消えて行きました。
その後その何かは戻ってくることはありませんでしたが、生きた心地はしませんでした。
またいつおかしなことが起こるや知れない。
霊的なモノは一切否定する彼をなんとか起こそうと絞り出した必殺技「トイレ行きたい」をかますことに。