喜劇王6 #174

174名無しさん@Next2ch:2016/10/25(火) 21:24:03.26 ID:???

>>173
「あ、起きた?」
目の前にパが、いた。エプロンをして立っている。
そこはブの自宅で、寝室だった。
パはブが起きたのを確認すると寝室から先に出て行った。
ブもベッドから下りてパジャマのままパの後を追う。
キッチンにはパが作ってくれた一人分の朝食が並んでいた。
「おではもう食べ終わったから」
と、エプロンを外し、かわりにシャツの上に外出用の秋物ジャケットを羽織りながらパが言う。
「お前、最近忙しそうだからギリギリまで寝かせといた。さ、もう食べて食べて」
パが食卓の御飯、味噌汁、漬物、焼き魚、卵焼きなどを指差した。
「じゃ、おで、そろそろ出かけるね」
ジャケットを羽織り終えて鞄を持ち玄関に向かおうとするパに、ブは思わず背後から抱きついた。
「え? なに? どーしたの?」
戸惑うパ。それに構わず、ブが振り向いたパにキスする。
「待って。仕事、あるから」
そう言ってパが照れたような表情を浮かべた。
「……あとでね」
と、はにかみながら玄関を出て行こうとするパに、ブが声をかける。
「今日は俺、八時くらいに仕事終わるから」
「オッケー。今日はおでの仕事の方が早く終わる。じゃ、晩飯作って待ってる」
そう言い残しパはブの部屋から仕事に向かった。
……そうだ。
いろいろあったけど、なんだかんだでまた、一緒にいられるようになったんだった。
とようやくブは実感した。
夢の中ではパがいなかった。
でも今は、いる。また自分の隣にいる。存在している。
ブは食卓につく。
懐かしいパの温もりが、まだ身体と唇に残っている。
終わり


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