パレード、おまえの中から。パレード、夜は夜毎月を噛る。ひかる楽器。なんども名
付けられ、なんどもあきらめて。捨てて捨てて、また放り出されて。楽器をなでて。
そんなパレード。立ち上がりほこりを払い、歩きだす。前を行く奴は見えない。後ろ
は霧。赤い螺旋の笛。吹けば響く。笑われているのか。試しているのならゲスなこと。
とてつもないもの。見えない。とてつもないもの。この胸を破って出てこないのか。
この僕を破って。この僕の胸を破って。
それでもいつか、きっと、星の囁き合う夜に、あの子に印を付けにいく。星の囁き合
う夜に、あの子に印を付けにいく。うわさ通り。いいつたえ通り。尻尾の付いた服を
着て。あの子の手をとって、赤い螺旋階段を降りていく。あの子には白い翼があるけ
れど、小さすぎて飛べやしない。だからそっと、降りていく。あの子の手をとって。