日経平均株価テクニカル分析-不安定さ残るも連続陽線で35000円を回復
日経平均株価は続伸。寄り付きからの売りが一巡した後は徐々に下げ幅を縮小し、プラス圏に浮上した後には上げ幅が1000円を超える場面があった。相変わらず不安定な動きが続いているが、連続陽線で35000円台を回復して終えた。
RSI(9日)は前日の33.7%→39.2%(8/7)に上昇。7/31の水準を上回り、ダブルボトムのようなパターンとなった。5日移動平均線(35051円 8/7)を上回る場面が続いたが、終値ベースでは同線付近まで押し戻される格好となった。ただ、5日の長大陰線、6日の陽線の中心付近から切り返した点はポジティブに評価できよう。上方のマド埋めと5日移動平均線を終値で超えられるかが目先の焦点となる。
週足の一目均衡表では週初に雲の下限(32748円 同)を下回ったが、前日からのリバウンドで雲の上限(35189円 同)に近い水準まで回復した。ある意味、いったん頭打ちが意識される水準でもあるが、週間終値ベースで雲の上限以上に戻せるかが焦点となる。52週移動平均線(36002円 同)上も回復できれば、一時的に38000円処まで伸びる可能性が高まる。
日足ベースの上値メドは、200日移動平均線(36880円 同)、8/1安値(37737円)~心理的節目の38000円、75日移動平均線(38785円 同)などが考えられる。下値メドは、8/5安値(31156円)、2023年10/4安値(30487円)や心理的節目の3万円、心理的節目29500円や29000円などがある。
米10年債入札、最高落札利回り3.960% 米財務省
米財務省によると、10年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが3.960%、応札倍率(カバー)が2.32倍となった。
欧州マーケットダイジェスト・7日 株高・金利上昇・ドルもみ合い
(7日終値:8日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.03円(7日15時時点比△0.08円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=160.58円(△0.27円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0922ドル(△0.0013ドル)
FTSE100種総合株価指数:8166.88(前営業日比△140.19)
ドイツ株式指数(DAX):17615.15(△260.83)
10年物英国債利回り:3.949%(△0.029%)
10年物独国債利回り:2.268%(△0.067%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
6月独鉱工業生産
(前月比) 1.4% ▲3.1%・改
(前年比) ▲4.1% ▲7.2%・改
6月独貿易収支
204億ユーロの黒字 253億ユーロの黒字・改
6月仏貿易収支
60.88億ユーロの赤字 77.16億ユーロの赤字・改
6月仏経常収支
26億ユーロの赤字 25億ユーロの赤字・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は147.00円を挟んだもみ合いの展開に終始した。内田真一日銀副総裁が東京時間に「市場が不安定な状況で利上げをすることはない」「当面現在の水準で金融緩和をしっかりと続けていく必要がある」と述べ、追加利上げに慎重な見解を示すと、本日の東京市場では日経平均株価が続伸し、円売り・ドル買いが優勢となった。欧米市場に入ってからも円売り・ドル買いが出やすい地合いとなった。日本時間夕刻に一時146.10円付近まで下押ししたものの、0時30分過ぎには147.68円付近まで持ち直している。米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.96%台まで上昇したことも相場を下支えした。
もっとも、東京時間に付けた日通し高値147.90円を上抜けることは出来なかった。
なお、三村淳財務官はこの日のイベントで「マーケットの不安定な状況は緊張感を持って注視する必要」「為替は特定の水準ではなくボラティリティを見ている」「為替はファンダメンタルズを反映し、安定推移が望ましい」「(介入に関して)人が変わったから政策変わるものではない」と話したが、相場の反応は限られた。
・ユーロドルは小幅高。本日NYカット(日本時間23時)に行使期限を迎えるオプションが1.0905ドルや1.0920ドル、1.0925ドルに観測されていただけに、しばらくは1.09ドル台前半でのもみ合いに終始した。ただ、23時を過ぎるとユーロ買い・ドル売りがじわりと強まり、0時30分前に一時1.0937ドルと日通し高値を更新した。
・ユーロ円は小高い。日本時間夕刻に一時159.56円付近まで値を下げたものの、欧米株価の上昇を背景に投資家の過度なリスク回避姿勢が和らぐと円売り・ユーロ買いが優勢となり、0時過ぎに一時161.44円と本日高値を更新した。
ただ、一時は480ドル超上昇したダウ平均が下げに転じると160.43円付近まで伸び悩んだ。
・ロンドン株式相場は続伸。日本などアジアの主要株式相場の上昇を受けて投資家心理が改善すると、幅広い業種に買いが広がった。HSBCやバークレイズなど金融株が買われたほか、BPやシェルなどエネルギー株が値上がりした。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株も堅調だった。
・フランクフルト株式相場は続伸。足もとで不安定な動きを続けていた日経平均株価が続伸すると、投資家心理が改善し独株にも買いが波及した。個別では決算内容が好感されたコンチネンタル(6.84%高)を筆頭にバイエル(3.16%高)やRWE(3.00%高)の上昇が目立っ
た。半面、減益決算を発表したコメルツ銀行(3.72%安)は大きく売られた。
・欧州債券相場は下落。株高を受けて、相対的に安全資産とされる独国債には売りが出た。
NYマーケットダイジェスト・7日 株失速・金利上昇・円下げ渋り
(7日終値)
ドル・円相場:1ドル=146.68円(前営業日比△2.34円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=160.22円(△2.43円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0922ドル(▲0.0009ドル)
ダウ工業株30種平均:38763.45ドル(▲234.21ドル)
ナスダック総合株価指数:16195.80(▲171.05)
10年物米国債利回り:3.94%(△0.05%)
WTI原油先物9月限:1バレル=75.23ドル(△2.03ドル)
金先物12月限:1トロイオンス=2432.4ドル(△0.8ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
MBA住宅ローン申請指数
(前週比) 6.9% ▲3.9%
6月米消費者信用残高
89.3億ドル 139.5億ドル・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は続伸。内田真一日銀副総裁が東京時間に「市場が不安定な状況で利上げをすることはない」「当面現在の水準で金融緩和をしっかりと続けていく必要がある」と述べ、追加利上げに慎重な見解を示すと、本日の東京市場では日経平均株価が続伸し、円売り・ドル買いが優勢に。一時147.90円まで大幅に値を上げた。
ただ、NY市場に入ると上昇は一服し、147.00円を挟んだもみ合いの展開に終始した。米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.97%台まで上昇したことに伴う円売り・ドル買いが出た半面、米国株相場の反落を受けた円買い・ドル売りが入ったため相場は一進一退の展開となった。
・ユーロドルは小幅ながら続落。本日NYカット(日本時間23時)に行使期限を迎えるオプションが1.0905ドルや1.0920ドル、1.0925ドルに観測されていただけに、しばらくは1.09ドル台前半でのもみ合いに終始した。ただ、23時を過ぎるとユーロ買い・ドル売りがじわりと強まり、0時30分前に一時1.0937ドルと日通し高値を更新した。ただ、米国株相場が失速すると徐々に上値が重くなり下げに転じた。
もっとも、今日の安値はアジア時間に付けた1.0906ドルで値幅は0.0031ドル程度と小さかった。
・ユーロ円は9日ぶりに反発。欧州株相場の上昇を背景に投資家の過度なリスク回避姿勢が和らぐと円売り・ユーロ買いが先行。0時過ぎに一時161.44円と本日高値を更新した。ただ、一時は480ドル超上昇したダウ平均が下げに転じるとユーロ円にも売りが出て160.20円付近まで下押しした。ナイト・セッションの日経平均先物も大証終値比620円高の3万5690円から720円安の3万4350円まで一転下落した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反落。足もとで不安定な動きを続けていた日経平均株価が続伸すると、投資家心理が改善し買いが先行。指数は一時480ドル超上昇した。ただ、米長期金利が上昇する中で買いの勢いは続かず、NY午後に入ると下げに転じた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も反落。米長期金利が上昇したことで高PER(株価収益率)のハイテク株には売りが出た。
・米国債券相場で長期ゾーンは続落。欧州債相場の下落を受けて米国債にも売りが先行。10年債入札の結果が「低調」と受け止められたことも相場の重しとなった。
・原油先物相場は続伸。EIA週間在庫統計が発表され、2種連続で原油の大幅在庫取り崩しが明らかになったことを背景に、需給ひっ迫懸念から買いが優勢となった。
・金先物相場は4日ぶりに小反発。米利下げ観測を背景に買いが強まり、一時2447.3ドルまで上昇したが、一巡後は戻り売りに
押されるなど上値は限られた。
7日の主な要人発言(時間は日本時間)
7日10:34 内田真一日銀副総裁
「景気は緩やかに回復しており、先行きも潜在成長率上回る成長続ける」
「経済や物価が見通しに沿って展開していくなら、金融緩和度合いの調整が必要」
「円安修正は政策運営に影響する」
「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要」
「金融市場が不安定な状況で利上げをすることはない」
「米国経済はソフトランディングする可能性が高い」
「最近の内外の金融資本市場の動きは極めて急激」
7日14:46
「日銀の政策変更に伴う円安修正、株価下落の要因の一つ」
「市場の変動の影響注視し、そのことを政策に反映していくのは当然」
「植田総裁と自分との考えの違いはない」
「為替は動くもので、それ自体が経済・物価見通しをどう変えていくかは確定的なこと言いづらい」
「為替の日々の動きにコメントするのは適切ではない」
「緩やかなパスで利上げできる状態は、時期選べる点でアドバンテージ」
「一定のペースで金利上げていかないとビハインド・ザ・カーブになるわけではない」
「中立金利などの特定の金利水準を意識しているわけではない」
7日20:52 三村淳財務官
「マーケットの不安定な状況は緊張感を持って注視する必要」
「為替は特定の水準ではなくボラティリティを見ている」
「為替はファンダメンタルズを反映し、安定推移が望ましい」
「(介入に関して)人が変わったから政策変わるものではない」
7日21:12 レーン・フィンランド銀行(中央銀行)総裁
「インフレが鈍化傾向にある限り、利下げは妥当」
※時間は日本時間
8日のイベントスケジュール(時間は日本時間)
<国内>
○08:50 ◎ 6月国際収支速報
◇ 経常収支(予想:季節調整前1兆7897億円の黒字/季節調整済2兆2755億円の黒字)
◎ 貿易収支(予想:3507億円の黒字)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○08:50 ◎ 日銀金融政策決定会合における主な意見(7月30-31日分)
○14:00 ◇ 7月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数47.5/先行き判断指数48.5)
<海外>
○08:01 ◇ 7月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:▲10)
○11:40 ◎ ブロック豪準備銀行(RBA)総裁、講演
○13:30 ☆ インド中銀、金融政策決定会合(予想:6.50%で据え置き)
○21:00 ◎ 7月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比5.57%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:24.0万件/187.0万人)
○23:00 ◇ 6月米卸売売上高(予想:前月比0.3%)
○9日02:00 ◎ 米財務省、30年債入札
○9日04:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表(予想:11.00%で据え置きと10.75%への引き下げで拮抗)
○9日04:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
株価指数先物【寄り前】 スキャルピング中心の売買が継続
大阪9月限ナイトセッション
日経225先物 34350 -720 (-2.05%)
TOPIX先物 2442.0 -38.0 (-1.53%)
シカゴ日経平均先物 34370 -700
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
7日の米国市場は、NYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。日銀の内田真一副総裁のハト派発言を受けて円相場が1ドル=147円台に下落し、円キャリー取引の急速な巻き戻しが落ち着いたとの見方が安心感を誘い、NYダウは一時480ドル上昇した。だが、10年債入札が不調だったことで米長期金利が上昇し、午後に入りNYダウは急速に上げ幅を縮め、下落に転じた。また、決算発表が本格化するなか、予想を下回る決算を発表したアムジェン<AMGN>が5%安となり、NYダウの重荷となった。S&P500業種別指数はテクノロジー・ハード・機器、家庭用品・パーソナル用品、公益事業が上昇した一方で、半導体・同製造装置、自動車・同部品、消費者サービスが下落。
シカゴ日経平均先物(9月限)清算値は、大阪比700円安の3万4370円だった。日経225先物(9月限)のナイトセッションは日中比400円安の3万4670円で始まり、その後はロング優勢から上昇に転じており、3万5230円~3万5590円辺りで保ち合いを継続。中盤にかけて3万5690円まで買われたが、買い一巡後は軟化し下落に転じると3万4350円まで売られた。売り一巡後に3万4800円辺りまで下げ幅を縮める場面もみられたが、終盤にかけて売り直される形となり、3万4350円とナイトセッションの安値で取引を終えた。
日経225先物はシカゴ先物にサヤ寄せする形から、売り優勢で始まりそうだ。7日の日中取引で一時3万5850円まで買われ、52週移動平均線(3万5760円)を上回る場面もみられたがキープできず、同線が抵抗線として意識される形だった。ナイトセッションでも同線を捉えることができず、週足のボリンジャーバンドの-2σ(3万5030円)も維持できなかった。これにより週足の-3σ(3万3250円)と-2σとのレンジ推移が続く形になりそうだ。
また、米国では前日にリバウンドをみせていたエヌビディア<NVDA>は5%超下落し、75日線が心理的な抵抗線となっている。ナスダック指数も自律反発の域は脱せず、前日のリバウンド分を帳消しにした。そのため、指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均型の重荷になりそうである。
昨日の日経225先物は830円高となったが、日中値幅は3000円(ナイトセッションを含む)を超えた。7日の取引終了後のナイトセッションでも1300円を超えている。ボラティリティが上昇するなかでは急激な価格変動によってヘッジ対応の動きも加わるため、トレンドが強まりやすい。積極的にポジションを積み上げることは難しく、スキャルピング中心の売買が続きそうだ。また、CTA(商品投資顧問)によるボラティリティトレードも活発化しやすく、荒い値動きには引き続き注意が必要だ。そのため、オプション権利行使価格の3万3000円から3万5000円と広めのレンジを想定する。
昨日のNT倍率は先物中心限月で14.14倍に低下した。14.19倍を付ける場面もみられたが、同水準で推移している200日線に上値を抑えられた。その後は内田副総裁の発言を受けてTOPIX型のインデックス買いが目立つなか、一時13.99倍に低下した。足もとでは14.00倍~14.20倍辺りでのレンジ推移が続いている。本日はややTOPIX型優位の展開が見込まれるが、大きく低下する局面ではその後のリバランス狙いになりそうだ。
7日のVIX指数は27.85(前日は2
7.71)に上昇した。一時29.76まで上昇する場面もみられたが、直近の急変動からは落ち着きがみられてきた。依然として20.00を上回ってはいるものの、過度なリスク回避姿勢が和らぐ可能性に期待したい。
東京為替見通し=1週間弱で前提条件外れた日銀、本日も荒い値動きになるか
昨日の海外市場でのドル円は、147.00円を挟んだもみ合いの展開に終始した。米10年債利回りが3.97%台まで上昇したことに伴う円売り・ドル買いが出た半面、米国株相場の反落を受けた円買い・ドル売りが入ったため相場は一進一退の展開となった。ユーロドルは1.09ドル前半で小幅な値動きだった。
昨日、内田日銀副総裁が函館市の金融懇談会で発表した「最近の金融経済情勢と金融政策運営」で、副総裁は「円安を受けて輸入物価が再び上昇に転じていることを踏まえて、0~0.1%よりも 0.25%程度の金利水準の方が、よりリスクに中立的で、適切であると判断した」と利上げの理由を述べた。しかしながら、その一方で今後の利上げ条件に付いて前提として「経済・物価の見通しが実現していくとすれば」という条件が付いていることを説明。「ここ1週間弱の株価・為替相場の大幅な変動が影響」と僅か1週間の株価の大暴落と、ドル円の急落で早くも前提条件が変わりつつあるとの見解を示した。
内田副総裁の発言で市場に一番影響を与えたのが、「わが国の場合、一定のペースで利上げをしないとビハインド・ザ・カーブに陥ってしまうような状況ではない」と述べ、「したがって、金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と断言してしまったことだ。
内田日銀副総裁が述べたように、「市場の変動の影響注視し、そのことを政策に反映していくのは当然」なのは確かだ。しかし、7月の会合から昨日までの経済指標は6月の毎月勤労統計調査こそは発表されたが、その他には特段市場が注目する本邦の経済指標等の発表がなかった。それにも関わらず、1週間も経たずに前提条件に合致しなくなったと判断されたことは市場にとってはサプライズだろう。
「不安定な状況」は、米国の経済指標の悪化などがあったとはいえ、植田日銀総裁が市場予想よりもタカ派に転じたことにより起きたこと。決して市場が大袈裟に反応したわけではなく、日銀が市場とのコミュニケーションが全くとれていないと言える。
内田副総裁の発言を受け、昨日のドル円は早朝の安値から3円60銭を超えるドル高・円安、株式市場は2000円の値幅で振れる結果となった。市場の安定性を保つべき中央銀行のコミュニケーション能力不足で流動性が崩壊し、海外からも「日銀の信頼性が損なわれつつある(Bank of Japan credibility is looking strained)」と評価されている。本日も傷んでしまったマーケットの中でドル円は些細なニュース等で、再び荒い値動きになることが予想される。
ドル円を支えとしては、昨日の内田副総裁のハト派発言のほか、皮肉なことに中銀の信頼性の欠如も円安要因になりそうだ。もともと7月の利上げは政治的な圧力が主要因という声もある中で、昨日は内田副総裁だけではなく、井藤金融庁長官が日本テレビとのインタビューで投資について「長期の目線」で対応と述べるなど、株安の火消しに走っている。今回の内田副総裁の発言も、植田総裁が株価の乱高下について閉会中審査の出席を求められていることで、「日銀サイドも政府の意向を組んで株安を阻止しようとしている」とのうわさもあるほどだ。
一方でドル円の上値を抑えるのは、新NISA導入による強い株買いトレンドの勢いが完全に削がれてしまったこと。また、ドル円のロングがいまだに捌けていないこと、本邦勢の想定為替レートを意識したドル売りが出やすいことなどが挙げられる。株安の流れが落ち着けば日銀が再び利上げに向かうとの予想も依然
多いことも、ドル円の上値を抑えそうだ。
本日の東京市場では、6月国際収支や7月の景気ウオッチャー調査が発表される。また、通常は注目される7月30-31日に行われた日銀金融政策決定会合における主な意見が公表されるが、内田副総裁がすでに1週間前の見解を変更していることで、直近の会合の意見も意味をなさないものになるだろう。
円以外の通貨では、オセアニア通貨に注目。日本時間正午前にブロックRBA(豪準備銀行)総裁が講演を行う。RBAは前回の理事会でも利上げについて協議されるなど、日銀同様に利上げの可能性もある数少ない中銀でもあることで、総裁の見解が注目される。また、日本時間正午にはニュージーランド準備銀行(RBNZ)が2年インフレ予想を発表する。RBAと違いハト派寄りの同中銀だが、来週の金融政策委員会(MPC)を前にインフレ予想に変化が生じればNZドルも動意づきそうだ。なお、前回の予想は2.33%まで低下している。
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