東京為替見通し=トランプトレードのドル買いと円買い介入の可能性に引き続き要警戒か
16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、6月米小売売上高が予想を上回ったことで158.86円まで上昇したものの、米10年債利回りの低下で158.32円付近まで反落した。
ユーロドルは予想を上回る米小売売上高で1.0905ドルから1.0872ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプトレードによるドル買いに対して本邦通貨当局による円買い介入の可能性に引き続き警戒する展開が予想される。
トランプ前大統領銃撃事件を受けて、トランプ氏が11月の大統領選に勝利する可能性が高まったことで、減税や関税引き上げという公約が実施された場合、インフレ圧力が高まるとの見通しからトランプトレード(ドル買い・米国債売り)への警戒感が高まりつつある。
しかし、トランプ前米大統領は先ほど「トランプノミクスは低金利と関税」と述べており、米10年債利回りは4.15%台まで低下しており、本邦通貨当局による円買い介入への警戒感などから、過去26日間の中心値である一目均衡表・基準線158.84円が上値を抑える展開となっている。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始時期は9月米連邦公開市場委員会(FOMC)となっており、11月と12月FOMCでも追加利下げが見込まれており、年末のFF金利誘導目標4.50-75%と想定されている。
今月末に退任する神田財務官は、先週、日米金利差が縮小傾向にある中で過去1カ月間の急激な円安の進行は投機的と指摘し、輸入物価上昇により国民生活が脅かされるなら「由々しきこと」と懸念を示して、先週11日と12日に円買い介入を実施している。
ドル売り・円買い介入が実施された水準は、4月29日の第1弾が159円台、第2弾が157円台、5月2日の早朝の第3弾が157円台、7月11日の第4弾が161円台、7月12日の第5弾が159円前後だと推測される。さらに、東京市場が休場の15日にドル円が157.19円まで急落した局面でも円買い介入の可能性が噂されており、今夕公表される日銀当座預金見通しで確認することになる。
神田財務官が円買い介入に乗り出した防衛ゾーンは157円~161円にあることから、本日の158円台での円買い介入の可能性に警戒しておきたい。
・4月23日時点のIMM通貨先物の投機部門の円の売り持ちポジション:179919枚
・4月29日(介入推定6兆円規模)高値160.17円~安値154.54円
※円買い介入水準は159円前後と157円前後
・5月2日未明(介入推定3.7兆円規模)高値157.99円~安値153.04円
※円買い介入水準は157円前後
・7月9日時点のIMM通貨先物の投機部門の円の売り持ちポジション:182033枚
・7月11日(介入推定3.5兆円規模)高値161.76円~安値157.44円
※円買い介入水準は161円台半ば
・7月12日(介入推定2.1兆円規模)高値159.45円~安値157.38円
※円買い介入水準は158円台前後