【相場の細道】神田財務官のユーロ円買い持ちポジションの利食い売り
「足元1カ月は5%も動いており、かなりの動きだ。金利差が縮小しており、客観的に様々なデータをみてもこれは投機と考えるのが不自然ではない。投機によって円安になり輸入物価が上がってしまい、普通に生きてる人たち、国民の生活が脅かされるとしたら由々しきこと、問題である」(神田財務官)
今月7月末に退任予定の神田財務官は、為替課長時代の2000年のユーロ危機の際の日米欧の中央銀行によるユーロ買い協調介入に参加しており、ユーロ円の買い持ちポジションを抱えている。
1.神田為替課長のユーロ円の買い持ちポジション
1999年1月に誕生したユーロ(対ドル1.16675ドル、対円132.80円)は、米国のITバブルによる欧州から米国への資本流出により、売り圧力に晒された。
2000年10月、ユーロドルは0.8228ドル、ユーロ円は88.96円まで下落した。
そこで、欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備理事会(FRB)、そして日本銀行は、ユーロ買いの協調介入に乗り出した。
神田財務官は、当時は為替課長として、ユーロ買い協調介入に参戦していたと思われる。
外貨準備には、約1兆565億円相当のユーロが残っている。
2.神田財務官のユーロ円の利食い売り
7月11日、米6月消費者物価指数(CPI)が前月比▲0.1%と発表された後、ドル円は高値161.76円から157.44円まで4.32円(2.7%)急落した。ユーロ円は、ユーロ導入後の高値175.43円から171.58円まで3.85円(2.2%)急落した。
そして、日銀当座預金見通しでは、11日の円の急騰の際に、本邦通貨当局が約3.5兆円の円買い介入を実施した可能性が示唆されている。
12日付けの新聞報道では、本邦通貨当局が為替介入の準備のために市場参加者に相場水準を尋ねる「レートチェック」をユーロ円で実施したことが関係者の話で分かった。具体的な為替取引の水準を照会することで、円買い為替介入に備える動きとされる。
イエレン米財務長官は、4月29日と5月2日の本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入に対して、難色を示していた。
そこで、本邦通貨当局は、円安を阻止するために、円買い介入を対ユーロで断行したのかもしれない。