【よろずのつぶやき by Wada】大事件後はスティープニング
先週末の海外市場では、6月米PPIが前日のCPIからは一転、全てが予想を上回る強い数字となったことから、ユーロドルは一時1.0875ドルまで値を下げる場面もみられましたが、欧州時間に付けていた安値1.0862ドルが目先の目処として意識されると次第に下値を切り上げる展開に。その後は7月米ミシガン大消費者態度指数速報値や同時に公表された消費者の期待インフレ率が予想を下回ると米長期金利が急低下。つれるかたちで1.0911ドルまで買戻されNY市場を終えることになりました。
ドル円はというと、こういったファンダメンタルズに沿った整合性のとれた値動きを顧みる必要はなく、ただ単に退任を今月末に控える神田財務官のメンツを保つだけの為の、不必要な介入による恣意的なマニピュレートされた動きを繰り返しているのみに終わりました。
いずれにしても、週明けのアジア市場では、週末の決して起きてはならない民主主義の大前提を覆す事件を受けて、先週末4.18%付近で終わっていた米長期金利が急上昇というかたちで反応。バイデン政権中の不法移民の急増を示すチャートが映し出された大スクリーンの方に顔を向けていなければ、確実に戻らぬ人になっていたトランプ前大統領が右耳から流血しながらも拳を上げて演壇を降りる姿と、事件に対する声明を発表したのが、事件勃発後1時間以上も経ってからとなったバイデン米大統領の対応を受けて、米金利のスティープニングが進んでいるといったところ。為替市場では全般ドルの買戻しが進んでいます。
それにしても、先週木曜日と金曜日の当局による介入に対しては、市場は「神田財務官であるのなら」といった、まだ残る少しのリスペクトがあったからこそ、「全く関係ない振りをしたり、市場をだますような発言があったり」を伴ったスムージングオペが、しかも、日経平均の暴落を誘っただけに終わったことにかなりの落胆だったはず。
ただ、米系HFを中心としたメインプレーヤー達が、現状のファンダメンタルズやタイトな需給関係を鑑みれば、今のドル円を下落させることが出来る手段が唯一、介入であると考えていることは事実。逆に言えば、だからこそ、どういった状況であれ、介入に対する対応は一貫しているともいえ、むしろ歓迎の意を示しているといったところ。目先は50日移動平均線が位置する157.82円付近が意識されています。