【相場の細道】米2024年度6月財政赤字:659.65億ドル
1. 2024会計年度(23年10月-24年9月)財政赤字:1兆2682.58億ドル
米財務省は、2024会計年度(23年10月~24年9月)の6月の財政収支が、659.65億ドルの赤字だったと発表した。2023年6月は2277.68億ドルの赤字だったことで、赤字幅は1618.03億ドル減少(▲71%)した。5月は給付金の支払いがシフトしたことを背景に拡大していたが、6月は反動で減少した。
2024会計年度(23年10月-24年9月)の財政赤字は1兆2682.58億ドルとなり、前年同期の1兆6929.98億ドルから124.74億ドル(9%)減少している。歳出は5%増の5兆224.56億ドル、歳入は10%増の3兆7541.99億ドルだった。
国債利回りの上昇を受けて、政府のコスト負担が大きく膨らんでおり、利払い額は、2023年10月は889億ドル、11月は799億ドル、12月は1191億ドル、2024年1月は691億ドル、2月は761億ドル、3月は886億ドル、4月は1024億ドル、5月は930億ドル、6月は1526億ドルとなり、合計で8680億ドル、年間見通しでは1兆1436億ドルとなっている。
過去最大の財政赤字を記録した2020会計年度(19年10月~20年9月)の財政赤字は3兆1319億ドル(対GDP比15.0%)で、2020年6月は8640.74億ドルの赤字だった。
過去2番目の財政赤字を記録した2021会計年度(20年10月~21年9月)の財政赤字は2兆7721.79億ドル(対GDP比12.4%)で、2021年6月は1741.61億ドルの赤字だった。
2022会計年度(21年10月~22年9月)の財政赤字は1兆3754.81億ドルで、2022年6月は888.42億ドルの赤字だった。
2023会計年度(22年10月~23年9月)の財政赤字は1兆6952.40億ドルで、2023年6月は2277.68億ドルの赤字だった。
2.2024年6月末債務残高:34兆8316億ドル(※米国債:27兆ドル)
米国の2024年6月末時点での債務残高は34.8316兆ドルで、2024年第1四半期国内総生産(GDP)28.27兆ドルの約123%となっている。
2023年6月3日に、バイデン米大統領が、米政府の債務上限法(※31兆4000億ドル)の適用を2025年1月まで停止する「財政責任法案(Fiscal Responsibility Act of 2023)」に署名したことで、米国の国家としての債務問題は先送りされた。しかし、発行されている国債の50%が今後3年で満期になるため、現状の米連邦準備理事会(FRB)による「より高く、より長く(higher-for-longer)」路線が維持されれば、利払い額は、今年度の見通し1兆1436億ドルのほぼ2倍の2兆ドルに達する。
米議会予算局(CBO)の推計によると、財政赤字は2024年度が1兆9150億ドル、2025年度が1兆9380億ドル、2034年度に2兆5600億ドルと増大し、米政府債務は2033年までに45兆7000億ドルに達すると見込まれている。また、米政府が債務に対して支払う平均利子率は昨年の3%から今後10年で3.4%に上昇すると予測した。
国際通貨基金(IMF)は米国の債務水準の上昇を抑制するために増税を求めた。米経済政策に対する審査の最終声明で、巨額の財政赤字と債務は「米国および世界経済に対するリスクを増大させ、財政上の資金調達コストの上昇や、満期を迎える債券の円滑な再投資に対するリスク増大につながる可能性がある」と警告している。