【よろずのつぶやき by Wada】副作用だけが
昨日の海外市場では、6月米CPIが予想を下回る弱い数字。ヘッドライン、コア共に全ての数字が低下傾向を示したほか、パウエルFRB議長が重要視するスーパーコアの数字も前月比で▲0.054%まで低下するなど、かなりの弱い結果だったことが分かると、米10年債利回りが4.1656%まで急低下。ドル円も161.00円を割込んで売り込まれました。その後一旦は下げ止まったものの、直ぐにも戻り売りに押される展開に。まとまった売りが持ち込まれると一気に157.44円まで急落することになりました。安値を付けた後は158.97円まで急速に買戻されたものの、157.93円まで急落。その後は再び158円台半ばまで値を戻して落着きを取り戻しました。
NY時間午後に入ってからは米30年債入札が2bpのテール発生となる不調な結果に終わると、米10年債利回りが4.2101%まで低下幅を縮めるにつれて158.92円まで買戻されて慌ただしかったNY市場を引けています。アジア時間に入ってからも早朝から乱高下。ショートカバーが先行すると159.45円まで値を上げる場面もみられましたが、157.76円まで急落。すぐにも159.41円まで買戻されましたが、再び158.00円まで下落。仲値にかけて実需の買いが観測されると159.39円まで再び値を戻しているといったところです。
いずれにしても、昨夜の4円の急落については、テレ朝が速報で「政府関係者の話として介入を実施した」ことを報じていますが、市場では「値動きなどをみても介入が入ったとは思えない」との声も多く聞かれているほか、当の神田財務官が「介入を実施したかどうかを言う立場ではない」との不思議な発言を繰り返しているほか、「介入を知り得る立場の人間は限られている。政府関係者が話したとは考えられない」と、何とも他人事のような姿勢。日経が「ユーロ円でレートチェックを実施した」と伝えているように、実弾を伴わない、いわゆる市場への牽制のみが行われたのならば、ここまでの値動きにも一定の整合性を与えることが出来るというものです。
神田財務官の退任を月末に控えて、このまま市場に対するある種の敗北感を抱えたままで見送ることが出来ないとの判断からのレートチェックだったのか、それとも、もし、仮に弱い米指標を受けたドル売りに拍車をかける、あからさまな押し下げ介入が行われていたのなら、日経平均の暴落という痛みや、イエレン米財務長官を再び激怒させる副作用を考慮してもなお、「立つ鳥後を濁して」までの価値があったのかどうかは疑問。市場参加者の多くは、米CPI後にポジション調整を完了させた後、一目基準線や50日移動平均線といった止まるべくして止まっている水準で拾えたという、絶好のチャンスをものにして、極めてハッピーな状況。東京市場では、かかる副作用だけが目立ってしまっています。