東京為替見通し=ドル円、荒い値動き続くか 豪ドルは豪金融イベントに注目
5日のニューヨーク市場では、ドル円は米指標の上振れや米長期金利の上昇を背景に一時144.89円付近まで買い戻された。もっともその後、米株の大幅安や米金利の伸び悩みを受けて143円半ばまで押し戻された。ユーロドルはNY序盤につけた1.1008ドルを頭に1.0940ドル台まで上値を切り下げた。ユーロ円はアジア市場で154円台まで急落した反動で、158円後半まで切り返す場面があった。
本日の東京為替市場でもドル円は、金利や株式相場の動向を見極めながら荒い値動きが続くか。急落と急騰を繰り返した後なだけに、傷んでいる市場参加者も多いと思われ、流動性は良くないことが想定される。フローに敏感に反応し、昨日同様に値幅を伴う場面も多々ありそうだ。
昨日は日本株の暴落を受けて、東京午後に1月2日以来の安値141.70円を記録。オセアニア時間の高値からだと5円近い下落幅になる。もっともその後、日通しレンジの下値からの61.8%戻しも達成し、一巡後は下押すもNY引け水準は半値144.18円付近だった。一旦は底打ち感が出てきてもおかしくはないか。
米株は大幅安で終えたが、昨日暴落した日経平均の先物は夜間取引でさすがに大きく反発。本日の東京市場でも、上げ幅をみて、昨日は悪化の一方だった相場のリスクセンチメントの改善が期待できるかもしれない。ただし、前営業日比4451円安と過去最大の下げ幅を記録した後で株価の水準自体はまだ低いため、積極的なリスクオンまでには至らないだろう。
ところでCMEのフェドウォッチによれば、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%利下げ織り込み度は8割を超えた。また翌11月会合でも同じ幅の追加利下げを織り込み、0.75%引き下げを見込む向きも増えてきている。日銀の年内追加利上げ観測が高まりつつあるなかで、米金利先安観がこのまま強まるようだと、日米金利差の縮小が意識されてドル円の上値も追いづらくなるかもしれない。
豪ドルも株式市場の動向を見定めながら、日本時間13時30分に豪準備銀行(RBA)が発表する政策金利や、その1時間後に予定されているブロックRBA総裁の記者会見を待つことになる。昨日から本日にかけて開かれた金融政策理事会では、政策金利が現行4.35%で据え置かれるというのが大方の見込み。予想通りであれば、6会合連続での据え置きとなる。
RBAはこれまでタカ派に傾き、次の一手は利上げと見られていた。しかしながら、先週公表された6月豪消費者物価指数(CPI)は前年比3.8%上昇となり、前月から伸び率が低下。4-6月期CPIは前年同期比3.8%上昇と前四半期からから加速した一方、RBAが金融政策を決定するうえで重視しているトリム平均は前期からの鈍化が確認された。これらの結果を受けて、RBAは一旦様子を見るとされている。
注目ポイントは、声明文でタカ派姿勢を維持するのかどうか。前回の声明では「最近のデータはインフレの上振れリスクに対する警戒感を改めて示している」として、利上げを議論したことを明らかにしていた。ここ最近の世界的な株安、豪経済が依然として頼るところが大きい中国の景気減速、米国のリセッション(景気後退)リスクを背景とした金利先安観などへの言及が注視される。