【市場の目】BOEも利下げを開始 追加利下げは慎重に判断
第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト・田中理氏
BOEも利下げを開始 追加利下げは慎重に判断
イングランド銀行(BOE)は8月のMPCで約4年半振りとなる利下げを決定。決定は5対4の僅差、今回利下げに転向した委員の一部は「利下げ/据え置き」が際どい判断だったことを認めている。最近の物価上振れが一過性の要因によるものか、物価や賃金を取り巻く構造変化の可能性も見極めが必要。同時に発表された金融政策レポートでのインフレ率の最頻値見通しは、年2~3回の利下げを織り込む市場金利を前提とした場合、2026年4~6月期に2%の物価目標を下回り、1.5%程度に収斂すると予想する。追加利下げを見送った場合の景気の腰折れや中期的な物価の下振れリスクにそこまでの切迫感はなく、追加利下げを急ぐ様子はみられない。当面は四半期に1回の金融政策レポートの発表月に合わせて、追加利下げの是非を判断する意向とみられる。