【相場の細道】因縁の二人:イエレン米財務長官とトランプ前米大統領
1.(2017年)トランプ第45代米大統領とイエレン第15代FRB議長
1946年6月14日、トランプ第45代米大統領は、米国ニューヨーク州クイーンズ地区で誕生した。13歳の時、素行不良でニューヨーク・ミリタリー・アカデミー(陸軍幼年学校)に転校させられ、ペンシルバニア大学で経営学士号を取得し、父親が経営していた不動産会社エリザベス・トランプ・アンド・サンに入社した。
2017年、第45代米国大統領に就任した。
1946年8月13日、イエレン第15代FRB議長は、米国ニューヨーク州ブルックリン地区で誕生した。ブルックリンのフォート・ハミルトン高校を首席で卒業し、ブラウン大学経済学部を卒業、ハーバード大学経済学部の助教授となった。ノーベル経済学賞者のトービン・エール大学教授の秘蔵っ子として、中央銀行は失業率の低下に貢献できる、という信念を引き継いだ。
2004年にサンフランシスコ連銀総裁、2014年、初の女性議長として第15代FRB議長に就任した。
2017年1月、1946年にニューヨーク州の隣接した地域で誕生した二人は、70歳でホワイトハウスで相見えることになる。
3月、イエレンFRB議長は、トランプ米大統領の要請を無視して追加利上げを継続した。
2. (2024年)トランプ前大統領とイエレン米財務長官
4月23日、トランプ前大統領は、「ドル高は大惨事(disaster)」と批判した。そして、円安・ドル高の進行により米企業がビジネスを失い、外国での工場建設を余儀なくされると指摘し、こうした為替相場はバイデン大統領が事態を放置している証拠であり、日本や中国などの国々は今や米国をばらばらにする、と批判した。
7月16日、トランプ氏は、「ドル高は大問題(big currency problem)」と述べた。
足元の外国為替相場に関し「対ドルでの円安や人民元安がはなはだしい」と指摘して、米国の輸出企業にとって「すさまじい負担だ」との懸念を示した。その上で、米国製自動車の輸入が進まず、対米貿易黒字を抱える日本に対し「不作法だ」と不満を漏らした。
7月25日、イエレン米財務長官はトランプ前大統領の強いドル批判について問われ、主要7カ国(G7)中央銀行・財務相会合のコミットメントを引き合いに「為替レートは市場で決定されるべき」だとの見解を示した。
「米国では数年前から、金融引き締め政策が敷かれており、金利が他国より高い水準にある。そのために資金が流入し、ドルが強くなる。強い経済とインフレ抑制政策のためにこうした状況は当然予想されるものだ。システムはこのように機能するべきものだ」と述べた。
米国も一員であるG7は市場で決定される為替レートにコミットしており、介入は不自然なボラティリティーが起きた例外的な状況においてのみ、パートナー国との協議の上で、まれに行われるべきだ、と指摘した。
イエレン米財務長官は、仇敵のトランプ前大統領と本邦通貨当局を批判している。