【市場の目】シンガポール通貨庁、5回連続の現状維持も先行きは緩和シフトか
第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト・西?M徹氏
シンガポール通貨庁、5回連続の現状維持も先行きは緩和シフトか
名目実効為替レートの緩やかな上昇を好感、緩和方向にシフトする可能性は高まっている
26日、シンガポール通貨庁(MAS)は定例会合を開催して金融政策を5会合連続で据え置いている。足下の同国では景気に対する不透明感がくすぶるも、4-6月の実質GDP成長率は前期比年率+1.45%とプラス成長で推移するなど底入れが続いている。また、金融市場での米ドル高にも拘らず、周辺国通貨の下落を受けてシンガポールドルの名目実効為替レートは緩やかに上昇しており、インフレは一段と鈍化するなど落ち着きを取り戻している。こうしたなか、MASは物価見通しを据え置く一方、景気見通しの下限を上方修正するなど、前回会合時点に比べて楽観方向にシフトしている様子がうかがえる。先行きの政策運営について明確な姿勢を示していないものの、緩和方向にシフトする可能性は高まっていると判断できる。