NY為替見通し=短期的なトランプトレード解消の動きになるか要注目
本日のNY市場では、バイデン現米大統領が、週末21日に今年の大統領選挙から撤退することを発表した影響を見定めることになる。すでに先週後半の18日辺りから、民主党内ではバイデン大統領へ撤退を促す声が増え、市場では週末には撤退表明を行うとの予想が高まり、撤退表明はサプライズではない。しかしながら、大統領選への不透明感が増えたことで、本日のNY市場の動きには警戒が必要になる。市場ではトランプ前大統領の勝利を織り込んでいたため、短期的にはトランプトレードが解消される可能性も予想されている。
為替についてのトランプトレードは、米金利上昇によるドル買いシナリオと、貿易赤字解消のためのドル安を促す売りシナリオに分かれている。よって、トランプトレード解消の動きは為替だけでは主体的には動きにくいことで、米株・米債市場の動向を見ていく必要がある。
トランプトレードの解消は本日のアジア時間からすでに緩やかながら始まっている。トランプ氏が大統領に返り咲いた場合は、減税や規制緩和などで株高が期待されていたことで、本日の日経平均は軟調な動きになった。欧州市場では欧州株は軒並み上昇しているが、欧州に関してはトランプ氏が北大西洋条約機構(NATO)での欧州各国の負担増を再び要求することが濃厚で、トランプトレードの解消は欧州株の支えになる一面もある。現時点ではダウ先物などは堅調だが、米市場がどう捉えるか注目したい。
また、トランプ氏は中国をはじめ輸入品に対して関税引き上げを示唆していたことで、米国の関税引き上げとその報復引き上げで、第2次トランプ政権はインフレ率上昇による金利高が予想されていた。よって、本日はこの巻き戻しで米長期金利は低下している。この流れがNY入り後の債券市場でも続くかにも目を向けたい。
なお、現時点では民主党の正式な大統領候補は決定されていないが、少なくともバイデン氏が候補となった場合は、民主党にとっては不戦敗が決定したことで、バイデン氏の撤退は民主党にとってはネガティブにはならない。仮に、現副大統領のハリス氏が大統領候補になった場合でも、トランプ氏との支持率とは開きがあることで、トランプ氏の返り咲きとの予想は多い。しかしながら、大統領選挙で民主党が敗北した場合でも、上下両院がこれまでの予想のように共和党が圧勝するというシナリオは崩れる可能性があることもトランプトレードが短期的に解消される理由になる。
・想定レンジ上限
ドル円は、これまでの本日高値157.61円や19日高値157.86円。
・想定レンジ下限
ドル円は、これまでの本日安値156.29円のすぐ下に位置する日足一目均衡表・雲上限156.23円。その下は、18日安値155.38円。