【相場の細道】次期日米首脳候補によるドル売り・円買い口先介入
7月17日、次期首相候補でもある河野デジタル相が、円安是正のため日本銀行に利上げを要求した、と述べた。
そして、次期米大統領候補でもあるトランプ前大統領が、足元の外国為替相場に関し「対ドルでの円安や人民元安がはなはだしい」と指摘して、米国の輸出企業にとってすさまじい負担だとの懸念を示した。その上で、米国製自動車の輸入が進まず、対米貿易黒字を抱える日本に対して不作法だと不満を漏らした。
7月18日の東京外国為替市場のドル円は、155.38円まで下落したものの、支持帯でもある一目均衡表の雲(155.49円~155.83円)に下支えされて、157円台まで買い戻された。
1. 河野デジタル相:円安は問題
■7月17日
河野デジタル相は、海外メディアとの英語のインタビューで、円の価値を高め、エネルギーや食料品のコストを引き下げるために政策金利を引き上げるよう日本銀行に求めた。河野氏は、急激な円安がもたらす国内物価への影響などの問題を強調した。河野氏は円が安くなれば輸出の増加につながるが、多くの日本企業は海外に生産拠点を置いており、日本にとっての恩恵は限られていると述べた。そして「為替は日本にとって問題だ。円は安過ぎる。価値を戻す必要がある」と付け加えた。
■7月19日
河野氏は、「映像を見ていただければ分かると思うが、日銀に対して利上げを直接求めているわけではない。金利が上がれば円高になるという理論を申し上げただけだ」と釈明した。日銀については「専権的に金融政策を実施するので、日銀がさまざまなことを考えて、いろいろなことを行うだろうということは言うまでもない」とも語った。
鈴木財務相は、「市場に与える不測の影響を考えるなら、発言は慎重であってほしい」と苦言を呈した。
2.トランプ前米大統領:ドル高は問題(strong $ is big currency problem)
7月16日、トランプ氏は、足元の外国為替相場に関し「対ドルでの円安や人民元安がはなはだしい」と指摘して、米国の輸出企業にとってすさまじい負担だとの懸念を示した。その上で、米国製自動車の輸入が進まず、対米貿易黒字を抱える日本に対して不作法だと不満を漏らした。
バンス副大統領候補も、「ウォール街よりも「ラストベルト(さび付いた工業地帯)」に軸足を置く」と述べ、ドル安政策に傾斜した発言をしている。