【よろずのつぶやき by Wada】慣れ親しんで
昨日のドル円は、アジア時間に前日の高値を上抜け。7月に入ってから続いていた上値切り下げの戻り売りリズムを崩したわけですが、海外市場に入ってからも、そのリズムを確認するかのごとく、パウエルFRB議長の米上院銀行委員会での議会証言を受けて一気に161.52円まで値を上げることになりました。パウエル議長の証言原稿からは「これまでの見解を改めて示しただけ」に過ぎなかったわけで、質疑応答の後半で「大体でいいので利下げはいつ頃になるのか」とのやや突っ込んだ質問に対して、議長はきっぱりと「本日はいかなるシグナルも示すつもりはない」と否定。当たり前の事とは言え、市場では「あわよくば」といった期待感もあっただけに、米長期金利の上昇とともにドル買いでの反応となりました。
米3年債入札が好調に終わったことから161.23円まで下押ししたものの、引けにかけては161.30円を挟んだもみ合いに終始。結果的には161.10円付近に位置している一目転換線をしっかりと維持することになりました。アジア時間に入ってからは、ゴトー日とあって朝方から当然のように本邦実需の買いが断続的に観測されるなか、昨日高値の161.52円を上抜けて一時161.59円まで値を上げているといったところです。いずれにしても、既に市場は160円台の取引レートに完全に慣れ親しんでいる状況。1990年4月17日の高値160.20円を上抜けた事実としての事の重大さや意味合いの深さが感じられます。
また、昨日は週明けにもお伝えしている通り、フランスの左派連合の躍進が至るところでほころびを見せ始めていますが、半分冗談だと思われていた最高税率90%が何と40万ユーロ以上の所得にかけられることが現実的になってきているほか、ムーディーズからは、この政治的混乱、つまり、大連立政権にならざるを得ない状況では、「フランスの信用格付けに大きなマイナス要因」であるとの警告。壊れつつあるフランスへの警戒感は高まるばかりとなっています。ユーロドルは何とか1.08ドル台を維持していますが、仏左派の大どんでん返しといったまさかの結末がもたらす、まさかの代償を負う羽目になるのかもしれません。とりあえず、アジア時間ではRBNZ後のオージーキーウィの急騰劇を眺めているところです。