【相場の細道】パウエルFRB議長の夏休みの宿題
「インフレが当局目標の2%に向かって低下しているとの自信を政策当局者が深めた」
(パウエルFRB議長)
パウエルFRB議長は、7月15日、首都ワシントンのエコノミック・クラブでデービッド・ルーベンスタイン氏のインタビューを受け、「1-3月(第1四半期)には自信を高めさせるものは何も得られなかった。だが、先週発表された1つを含む第2四半期の3つの指標で、幾分自信は深まった」と語った。
雇用情勢に関しては、「労働市場には緩みはない。基本的に今は均衡している」と述べた。そして、インフレ率が2.5%であることを指摘し、失業率が急上昇することなくインフレ率がピークから低下していることは従来の常識では考えられなかった、と述べた。失業率は4.1%で、2%のインフレ目標と整合的な完全雇用を示すFRB当局者の予測中央値より0.1%低い水準にある。
ルーベンスタイン氏は投資会社カーライル・グループの共同創業者であり、パウエルFRB議長は1997年から2005年までカーライル・グループ共同経営者だった。
1. 「フェドウオッチ」
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始時期は9月米連邦公開市場委員会(FOMC)となっており、11月と12月FOMCでも追加利下げが見込まれており、年末のFF金利誘導目標4.50-75%と想定されている。
パウエルFRB議長が、利下げ時期が近いとの見方を示唆しなかったことを受けて7月FOMCの利下げの確率は、発言前の13%から7%未満に低下した。
しかし、ゴールドマン・サックスのエコノミストらは、7月30-31日のFOMCで利下げを実施する「確かな論拠がある」との見方を示している。
2.パウエルFRB議長の夏休みの宿題
パウエルFRB議長は、11月の大統領選で返り咲く可能性が高まりつつあるトランプ前大統領が「解任する予定はない。再任はさせない」と主張しているものの、2026年5月までの任期を全うすると述べた。また、11月の大統領選前の利下げを控えるように要請されており、議長の暑い夏は続いていく。
今後のスケジュールは以下の通りとなる。
・8月22-24日:ジャクソンホール会合「テーマ:金融政策の伝達」
9月FOMCでの利下げ開始を示唆か?
・9月17-18日:FOMC ▲0.25% ⇒5.00-25%
・11月5日:米大統領選挙
・11月6-7日:FOMC ▲0.25% ⇒4.75-5.00%
・12月17-18日:FOMC ▲0.25% ⇒4.50-75%