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◎臨床医の理解不足も
さらに、ME/CFSは一般の保険診療で認められている血液検査や臨床検査には
異常がみられませんので、身体化障害などの「精神疾患」の一部と考えられ
ている医師が多くおられることも大きな問題となっています。
ME/CFSに罹患した患者さんが、プライマリ・ケアを担っておられる
開業医や市民病院を受診しても、一般検査に異常がみられない場合は
身体的な疾患は否定的と判断され、診察を受けられないことが多いのです。
しかし、2015年に大きな転機がありました。
それは、全米アカデミーの1つである医学研究所(IOM、現在の
全米アカデミー:NAM)がCFSやMEに関する論文9,112編をレビューした
結果、ME/CFSを「患者の健康や活動に深刻な制限をもたらす全身性の
複雑な慢性疾患」と認定し、全米の臨床医にこのような病態を理解して
診断・治療に取り組むように発表したことです。この決定を受けて
米国国立衛生研究所(NIH)は、国立神経疾患・脳卒中研究所が中心と
なって対応することを決めるとともに、NIHクリニカルセンターに
おいて、病因・病態の解明に向けた臨床研究を開始しています。
総合診療を担っておられる先生方には、本特集を通じてME/CFSについて
正しくご理解いただき、知識の普及・啓発や診療にご協力いただけると
幸いです。本特集が、ME/CFSで苦しんでおられる多くの患者さんへの
支援に少しでも役立つことを心より願っております。