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諸外国においては、入院予防効果を検討した研究結果が数多く報告されている14-15。
国内で承認されているワクチンにおいて、デルタ流行期には、一貫して高い重症化予防効果が示されてきた14。
しかし、オミクロン流行期においては、2回接種およびブースター接種において、
50-100%と幅のある重症化予防効果が報告されている15。本報告においては、COVID-19重症肺炎に
より特異的なアウトカム(転帰)である酸素需要を伴う症例や人工呼吸器を要する症例に
限定して解析を行うことで、より確度の高い推定を目指した16。オミクロン流行期においては、
入院患者で偶発的に新型コロナウイルス感染者が増えており、
入院予防効果では有効性を過小評価しうるため、この考慮は特に重要となる。
本報告では、デルタ流行期における2回接種の高い重症化予防効果、
オミクロン流行初期における3回接種の高い重症化予防効果が示された。
2023年5月からCOVID-19の感染症法上の位置づけは5類感染症へ移行するが、
今後も、有効性や安全性等のエビデンスに基づいて新型コロナワクチンの接種戦略を検討することが重要となる。