あじあちっく 5つ星のうち5.0
顔は想像以上に速く変化する
2011年10月17日に日本でレビュー済み
自然人類学者の著者が、主に解剖学的視点・頭骨の形状から日本人の顔つきの時代的変遷を語る。最初に、頭骨の形状はそれにつく筋肉の方向や強さで決まること等が書かれていて、解剖学の基礎知識を得ることが出来る。
次に、現代日本人の顔つきは、現在の東南アジア人に近い縄文系、寒冷適応を経た北東アジア人に近い弥生系、その混血タイプ、あごの骨が小さい貴族タイプに大別されると書く。現代日本人の「大頭」は縄文人から「平坦顔」は弥生人から受け継いだとのことだ。
最後に、人間の顔は想像以上に速く変化すること。いわゆるソース顔・しょうゆ顔という系統的差異も重要だが、それにも増して、硬い食物の減少に起因する咀嚼筋の縮小によって「小顔化」が急速に進んでいること、また同じ原因によって歯列矯正を受ける人が増えていることを教えられた。